日本語版 English 中文版

大田区工業ガイド

大田区工業ガイド発行について

大田区は高度な加工技術を有する中小企業が集積する日本有数の「ものづくりのまち」です。多種多様な加工技術の集積の強みを活かし、戦後の高度経済成長期から日本の産業全体の屋台骨となり、先端的な技術開発を支えてきました。

平成元年のバブル経済崩壊、平成20年のリーマンショック、平成27年の中国人民元切り下げによる株価暴落(チャイナショック)など、区内中小企業は幾多の危機を乗り越え、保有する高度な技術力で勝ち残ってきました。

工場数の減少を食い止め、未来の大田区ものづくりの姿を確立するため、大田区と大田区産業振興協会は、工業集積の維持・発展に向けた支援、技術革新・経営革新の支援、ものづくり人材の確保・育成支援等、具体的な打開策となる様々な事業を展開しています。また、企業自ら高度な加工技術や開発力を活かすことで、独自製品開発への取り組みや、若手人材に円滑な技術継承を実践しています。近年では、成長産業である医療・介護、航空宇宙、ロボット等の「次世代産業」への参入にチャレンジする企業もみられ、大田区工業はいま、新たな転換期を迎えようとしています。

このガイドを通して、大田区在住・在勤の方はもとより、国内外の多くの方が大田区工業について一層のご理解、ご関心を持っていただけることを願っています。

大田区産業経済部産業振興課
公益財団法人大田区産業振興協会

1.大田区の立地と特徴

大田区の立地図

大田区は東京23区の最南端に位置しており、面積は23区中第1位です。

人口は世田谷区、練馬区に次いで第3位で、昼・夜間人口がほぼ同じなのが大きな特徴です。区内は工業地域、商業地域、住宅地域などエリアごとに特徴があり、区全体で企業活動と生活空間が共存しています。

加えて、大田区は東西南北に走る国道、環状線などの幹線道路やJR、京浜急行、東京急行などの鉄道網が充実しています。また、国際化が加速する羽田空港が世界への窓口として大きな役割を担っており、交通の要衡となっています。

面積:60.66km2
(2015年3月12日現在、23区中最大)

人口:712,057人
(2016年1月1日現在、外国人住民を含む)

※Link

先頭へ戻る ↑

2.大田区内の工場数の推移

大田区内に立地する製造業の事業所数(工場数)の推移

グラフ:大田区内に立地する製造業の事業所数(工場数)の推移

大田区内の工場数は、高度経済成長期から暖簾分け等によって増加しましたが、昭和58年の9,177をピークに減少が続いています。原因として、バブル経済の崩壊やリーマンショック等の経済状況の変化や、少子高齢化に伴う後継者不足による転廃業等が考えられています。現在では、そのような厳しい時代を独自の加工技術等を売りにして勝ち残った町工場が大田区内に集積しています。

先頭へ戻る ↑

3.大田区内の工場の従業員規模と業種

大田区内の工場の従業員規模

グラフ:大田区内の工場の従業員規模

大田区内の工場の従業員規模は、「3名以下」が約半数を占めます。これに「4~9名」を加えると「9名以下」で8割弱となります。大田区内には規模が小さい工場が集積しているのが大きな特徴と言えます。

大田区内の工場の主要業種

グラフ:大田区内の工場の主要業種

大田内の工場の業種分類では、「金属製品」と「一般機械」で過半数を超え、電子機械や輸送用機械を加えた「機械・金属加工系」の業種は8割を超えます。切削・研磨等の加工技術を得意として、付加価値が高い試作品や治具等の「多品種・少ロット生産」に特化した工場が多いのも大田区内の工場の特徴です。

先頭へ戻る ↑

4.今後の事業継承と受注・外注状況

技術・技能継承の影響の有無

グラフ:技術・技能継承の影響の有無

事業の継続意向

グラフ:事業の継続意向

従業員の退職や高齢化に伴う技術・技能継承に「既に影響が出ている」と回答した工場は約2割となっています。これに「今後影響が出てくる」を加えると6割以上の工場が技術・技能の継承に危機感を持っています。また、事業の継続意向に関しては、8割以上の工場が「現状のまま継続」と回答しています。

地域別の受注状況の分類

グラフ:地域別の受注状況の分類

地域別の外注状況の分類

グラフ:地域別の外注状況の分類

上記2つのグラフから、受注・外注状況は大田区内を主体としている工場が多いことが分ります。特定の大企業系列下にある工場は少数で、多くは大田区内に複数の得意先を持っています。特に外注割合に関しては、半数以上が大田区内の工場を主体としています。非常に近接した距離で取引ネットワークを構築していることから、「仲間まわし」とも呼ばれています。また、輸送交通網の発達やインターネット環境の普及等から、近年では大田区外の企業と取引をする工場も増えています。

先頭へ戻る ↑

5.大田区の工場の強みと「仲間まわし」のネットワーク

「仲間まわし」連携体制の図

大田区内の工場がそれぞれに専門分野を持ち、その分野に特化して、高度な加工技術を体得してきました。その結果、様々な加工技術を有する工場が集積し、「仲間まわし」と呼ばれる連携体制が構築されました。また、コンパクトな経営規模の工場が高度な加工技術を有することで、「多品種」「小ロット生産」「短納期対応」を可能としている点が大きな特長と言えます。
以下は加工技術の一例です。

1.切削

切削

金属やプラスチックを削る工程です。タングステン等の特殊な金属素材の高精度加工に特化した工場もあります。

次へ

次へ

2.穴あけ

穴あけ

ミクロン単位(1,000分の1ミリ)の超微細な穴あけ加工の一例です。0.5㎜シャープペン芯にも穴あけ可能です。

次へ

次へ

3.研磨

研磨

金属やガラス等の表面を磨いて滑らかにする工程です。機械だけではなく、職人による手作業でも行われます。

次へ

次へ

4.めっき

めっき

金属等の表面に被膜を覆う工程です。母体の腐食を防ぎ、表面の質感を向上させる目的で行われます。

先頭へ戻る ↑

6.経済状況から見る大田区工業の歴史と下町ボブスレー

オイルショック~バブル経済
(1973年頃~1990年頃)
  • 高度成長期の一社依存型から複数受注型へシフト
  • 専門分野の加工技術に特化
  • 「仲間まわし」ネットワークの形成

次へ

バブル崩壊~失われた20年
(1991年頃~2011年頃)
  • デジタル化・IT化による数値制御工作機械の普及
  • 日本経済の停滞に伴い工場数の減少
  • 経営者・技術者の高齢化、後継者不足問題が顕在化

次へ

アベノミクス経済~
(2012年頃~)
  • 受託加工型から研究開発型へステップアップ
  • 航空・宇宙、医療・介護等の新たな産業への参入
  • 新たなネットワークの形成

バブル崩壊後、発注側大手企業が生産拠点を海外へシフトして受注量が減る中で、「自ら作る製品を自ら考えて開発する」研究・開発型にステップアップする企業やファブレス企業(※)が見られるようになりました。その中でも「下町ボブスレー」は、「仲間まわし」のネットワークや、高度な加工技術・短納期対応といった本来の強みに加え、「企画・開発力」も同時にアピールし、国内外の大手企業から航空・宇宙産業や医療・介護機器関連の仕事を受注することを目指しています。

※ファブレス企業:製品の企画設計や開発は行うが、製品製造のための自社工場は所有せず、製造自体は他社に委託し、出来上がった製品を自社製品として販売する企業のこと。

最初に開発・製作した下町ボブスレー1号機(奥)と小型・軽量化した2号機(手前)

最初に開発・製作した下町ボブスレー1号機(奥)と小型・軽量化した2号機(手前)

下町ボブスレー製作会議の様子

下町ボブスレー製作会議の様子

先頭へ戻る ↑

7.展示商談会でビジネスチャンス拡大と新たな産業への参入

高度な加工技術を発信し、新たなビジネスチャンスを創出するために、大田区産業振興協会では目的別に様々な自主企画展示会や商談会を開催しています。その一例をご紹介します。

おおた工業フェア

おおた工業フェア

毎年2月に3日間に渡って開催されるおおた工業フェアは、大田区ものづくり企業が集まる最大のイベントです。

加工技術展示商談会

加工技術展示商談会

加工技術にテーマを絞り、従業員10名以下の工場でも出展しやすい1日限定の展示会です。

おおた研究・開発フェア

おおた研究・開発フェア

おおた研究・開発フェアは「産学連携」にテーマを絞った展示会です。全国の大学や高専、研究機関等が最先端の技術や製品を出展しています。

モノづくり受発注商談会in大田

モノづくり受発注商談会in大田

ものづくり企業の新規取引先開拓や情報収集のため、大田区を中心に全国の企業が一堂に会する商談会です。

先頭へ戻る ↑

新たな産業への参入

2008年の「リーマンショック」を契機にビジネスチャンスを獲得するため、長年培った高度な加工技術を活かして、新たな産業へ参入する工場が見られるようになりました。下記のグラフでは、従来から手掛けている「製造装置・産業機械」に次いで、「医療・介護」「環境・エネルギー」「航空宇宙」といった今後の成長が見込まれる「次世代産業」の新規開拓意向がうかがえます。

グラフ:新規顧客・新規事業に関心のある開拓分野
医療関連の製品サンプル

医療関連の展示会において製品サンプルを展示して、医療機関や医療機器メーカーの関係者に出展企業の加工技術力をアピールしています。

ファンボロー国際航空ショーを下町ボブスレーのメンバーが視察している様子

英国のファンボロー国際航空ショーを下町ボブスレーのメンバーが視察しました。国のジャパンブランド育成支援事業を活用し、航空機産業参入のチャンスを探りました。

先頭へ戻る ↑

8.大田区と大田区産業振興協会の施策と展望

大田区では、区内の工業集積の維持・発展を図るため、産業振興に関わる政策の立案や計画の策定、各種調査、産業立地、人材育成等に関する事業を展開しています。

平成26年度には、企業立地促進法にもとづく、区内のものづくり企業及び関連企業の高付加価値創出のための大田区企業立地促進基本計画(第二次)を策定しました。

企業立地については、区内の工場の拡張や新規立地の促進を図るため、賃貸型工場アパートを設置し、新規創業や研究開発等を推進するための各種産業支援施設も整備しています。また、工場の新増設や区外からの移転に係る経費への助成、区内中小企業への仕事の発注が期待されるファブレス企業や研究開発型企業等の拠点整備のための助成を行うとともに、有力企業の誘致にも取り組んでいます。

人材育成では、(一社)大田工業連合会に委託して、経営技術指導講習会や次世代ものづくり人材育成事業等を実施し、区内中小企業の技術力の向上や事業の高度化を促進していきます。

大田区産業振興協会では、大田区の政策等に基づいて事業を展開しています。

まず、成長産業である医療・介護福祉、航空宇宙、ロボット産業等の「次世代産業」を育成するため、分野・テーマを限定した展示会・商談会の開催等、時代変化に即応した事業を展開します。

また、新製品・新技術開発の支援や、企業間ネットワークの形成支援における異業種取り組みの促進等により、区内中小企業の事業領域拡大に貢献します。ビジネスがしやすいまち大田区をつくるため、創業者支援や産業を支える人材の確保・育成にも取り組みます。

国内外の取引促進については、区内中小企業の受注獲得を目標として受発注あっせんや展示会出展等の事業を展開します。海外市場開拓では、海外企業からの受注拡大を目指します。

※注釈:2ページ・3ページおよび7ページの統計数データは「平成26年度大田区ものづくり産業等実態調査報告書」(平成27年3月発行)より引用しています。

大田区航空写真

先頭へ戻る ↑

サイトのトップへ戻る

Copyright©2017 公益財団法人大田区産業振興協会 All Rights Reserved.