社内一貫体制が強み!金型と成形の技術力で試作から量産まで応援

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プラスチックの性質を熟知し、0.1秒以下の調整で信頼の成形品を

今岡モールディング本社

みなさん、こんにちはー! 『おおたシゴト未来図』レポーターのシンドーです。私が今回訪問したのは「有限会社今岡モールディング」という会社です。東急多摩川線「下丸子駅」から徒歩5分ほどの住宅街にありました。ちなみに「武蔵新田駅」からでも同じくらいの距離。お好きな方からどうぞ。

出迎えてくれたのは、はにかんだ笑顔が素敵な相澤史明さん。よろしくお願いしまーす。

相澤さんとシンドー
相澤 史明(あいざわ ふみあき)さん
神奈川県出身。事業統括部所属。工業分野(機械系)の大学に入学したが、計算が中心の勉強に飽き足らず、「もっと手で作ることをしたい」と大学を中退し美術系の専門学校へ。卒業して1年ほど、自分に何ができるか迷っていたが、2016年12月に今岡モールディングに入社。現在は、金型を用いたプラスチック部品の成形を担当している。

実は工作が得意で、家では棚も自分で作っちゃうDIY女子の私。ゴツイ機械に囲まれ、朝からワクワクしているのです。ガシガシ質問していきますよー!

さっそくですが、今岡モールディングは何を作っている会社なんですか?

金型の設計・製作と、その金型を使ったプラスチック成形を主に行っています。

機械の台数が多いですね。いろんな種類の機械があるのは、金型製作とプラスチック成形の両方をやっているから?

そうなんです。特に金型加工には、いろいろな機械が必要。そのため、同時5軸マシニングセンタをはじめ、放電加工機や研磨機などを揃えています。

工場の中は、入って右側が成形部門、左側が金型部門と分かれています。さらに棚には、これまで製作した金型がぎっしり。500型ほどあるのだとか。

入社2年目の相澤さんが担当しているのは、プラスチック成形。電動の成形機を使って、インサート成形と呼ばれる加工をメインに行っているとのこと。インサート成形ってなんだろう? そこで、実際に成形作業の様子を見せてもらいました。

インサート成形の説明を受けるシンドー

教えてもらった手順をかいつまんで説明します。

まずは相澤さんが、金型の中にガラスを並べてセットします。そのまわりに溶かした樹脂、いわゆるプラスチックを機械でぎゅっと注入。そこに圧をかけて一体成形するんですって。使用するプラスチックによって溶ける温度や流し込む速さが違うので、それを細かく設定してあげる。あとは半自動で作業を繰り返していけば、部品がどんどん出来上がる……という流れです。伝わったかな?

設定中
出来上がった製品を取り出し確認

で、こんなのが出来上がりましたー!
自動車のエアコンに使う部品だとか。真ん中にガラスが入って、まわりは樹脂になっています。

出来上がった製品

機械でプラスチックをぎゅっと注入して、まわりに流れ込むまでの時間は、成形品によっては0.1秒以下なんです。速すぎれば焦げてしまうし、逆に遅すぎると材料が冷えて流れきらない。材料に合わせて丁度いいタイミングを探して成形しなければいけないんです。

えっ! そんな一瞬の速さを調整するんですか?

金型の中にガラスを並べて、プラスチックを流し込み、出来た成形品を取り出すまでが1分くらい。成形機は一度設定するとあとは半自動で繰り返されるので、いかに機械に合わせて動くかというのも重要になってくるんです。

プラスチックが流れてくるタイミングに合わせて、毎回セットしてやるということですか?

のろのろやっていると機械を待たせることになって、プラスチックに熱が加わる時間が長すぎちゃう。それが製品のバラツキのもと。だから細かい設定を決めたら、それに合わせて動く!

設定したら終わり、じゃないんですね。アスリート並みの集中力と持久力が必要かも。

出来上がった成形品は、2階の仕上げ作業場で、念には念を入れて不良品がないかチェックされます。量産であっても、その一品一品にも目を配り、しっかりした品質のものをお客様に届ける。この姿勢が信頼につながるんですよね。

検品作業を見学するシンドー

どこで使われている部品なのかを意識しながら作り、届ける

相澤さんはどんなきっかけで入社を決めたんでしょうか。

相澤さんインタビューショット

相澤さんと今岡モールディングを結びつけたのは、大田区が開催した中小企業30社が集まるイベント「ヤングジョブクリエイション」だったとか。自分の手で作ることに興味があり、「ものづくりなら大田区」だろうと参加を決めたそうです。

大手企業へという選択肢は考えませんでしたか?

あまり大きな企業だと機械任せというイメージがあって。やはり自分の手で作ることに魅力を感じていましたから。

入社の決め手ってなんだったんですか?

子どもの頃からプラモデルが大好きで、金型とかプラスチックの成形っていうのに親しみを感じたからかな。あとは社長の人柄も決め手のひとつでした。

プラモデル制作で鍛えていたから、集中して作業をするのは得意なんですね!

そうかも。量産なので1つの製品に1日以上、モノによっては1週間かかる。でも、1つのことをコツコツやるのが好きな人には向いている仕事ですね。

先輩にアドバイスを受ける相澤さん

今岡モールディングで作られる部品や金型は、工作機械や自動車などをはじめ、ロケットや航空機、鉄道、医療機器など、人の命やインフラを支える分野でも使われているそうです。
でも、「あ、あれだ」ってすぐ目に付くところにはないんですよね、残念ながら。一生懸命作っている社員の方たちにとって、正直、やりがいはどうなんだろう?って思ったんです。それで、余計なお世話と思いつつ、そのあたりを相澤さんに尋ねてみると……。

「たしかに私たちが作っているのは、みんなの目に付くわかりやすい部品ではないけれど、最終的な製品というのは、きっとそういうもので支えられていると思う。だから大事な部品を作っているという自覚を持ってものづくりができています」

金型作製に使う刃を削る

私の勝手な懸念は簡単に吹き飛びました。実は、現場の人たちがやりがいを感じられるようにと、社長ができる限り、どこで使われているのかをお客様からリサーチし、社員に伝えるようにしているんだそう。その中には世界シェアNo.1の製品に使われている部品もあるとのことで、どこに使われるのかを考えながら部品を作ることで、気をつけるべき点などを意識するようになったとか。

今やってみたいことは、三次元CADの勉強だと相澤さんは言います。設計も手がけるようになる日が楽しみですね!

成形+金型+設計のトータルな知識でお客様に逆提案も

さて、次にお話しを伺ったのは、代表取締役の今岡恵一さん。今岡モールディングの2代目社長さんです。この日の青空のように爽やかな笑顔で登場です。あらためて、会社の成り立ちや強みをお聞きしました。

代表取締役 今岡恵一氏

会社の創業は昭和43年。当時は成形品と呼ばれるプラスチック部品だけを作っていて、金型は作っていなかったそうです。ただ、金型の良し悪しが部品の生産性や品質、良品率を左右する世界。「じゃあ、自分で金型まで作ろう」と始めたのが昭和54年頃のこと。そこが会社としての大きなターニングポイントだったと言います。

大田区でも、成形と金型を1つの会社でやっているのは、そんなに多くないんです。特に1つの工場の中で量産までやっている会社はほとんどありません。

成形と金型、両方をやっている強みは、どんなところで発揮されるんですか?

いちばん大きいのは、新商品の開発事案ですね。いざ組み立ててみたら、あそこが悪い、ここが悪いってことがけっこうある。じゃあちょっと金型を調整しようといっても、1日2日はかかってしまいます。

なるほど、同じ工場内でやっていれば、すぐに調整してまた試作ってことが可能なんですね。

そうなんです。そのスピード面での強みは大きい。お客様からも高く評価していただいています。

成形部門

今岡モールディングでは、新卒も中途も、まずは成形の加工から始めるのが基本コース。そこで3年ほど学んでから金型製作、さらに金型設計を学んでいくのだとか。なぜ成形から覚える必要があるのでしょう?

「金型に材料を流したときに、どう流れていくかのイメージができないと良い成形品ができないんです。たとえば、中に入っている空気の逃げ方を予測してわざと隙間を空けておいたり。また、当社の成形でよく使うプラスチックは強度を出すためにガラス繊維が入っているんですが、ガラスとプラスチックの性質の違いを考えて金型を作らないと、丸い金型から楕円の成形品が出来上がる、なんていうことが起きてしまいます」

金型部門

金型作りには成形の知識に加え、実際の経験が重要なんですね。さらに金型設計のステップでは、金属を加工する機械ごとの得手不得手も覚えなければいけません。
でも、そこまでを一通り学んでおけば、成形での生産性や金型構造まで考えた上で、「製品形状をこう変更したほうがより良い製品ができます」といった、お互いにメリットのある逆提案ができるということ。単に図面通りのものを製作するだけでなく、お客様のアイデア段階から関わることだって可能です。
「それが弊社のもう一つの強み」と今岡社長は力強く語ってくれました。

成形や金型製作ってすごく奥が深いんですね。

「金型の技術水準がその国の工業水準を決める」と言われるくらい重要なものなんですよ。

工業立国ニッポンを支えているのは、金型だったのかあ。

いま、世の中にある画期的な製品や技術のほとんどは、部品の量産技術が確立できたからこそ、私たちが利用できているんです。そしてそれには、金型の技術が欠かせないんです。

金型が作られなければ、埋もれてしまった製品もあるかもしれませんね!

最後に、今岡社長から見た相澤さんはどんな社員でしょうか?

「非常にマメにやっていますね。私が教えたことを全部メモをして、あとから見返していたり。だから一回教えたことはすんなり覚えてくれる。これからの成長に大いに期待しています」

現在は相澤さんが社員の中で一番の若手。でも来春、2人の新人さんが入社予定なんですって。1人は文系出身で、しかも女性だとか!
機械や工業系の知識がなくても、文系の方でも「ものづくりが好きなら大丈夫!」と今岡社長。私も、憧れちゃうなあ。

今岡社長と相澤さん

プラスチックの成形から金型製作、さらにその設計まで、ものづくりを支えるスキルをオールラウンドに学べるのが、今岡モールディングで働く魅力だと感じました。金型設計まで身につければ、お客様のものづくりを幅広くお手伝いできます。その力はまさに鬼に金棒。今岡モールディングなら、やりたいこと、やれることの可能性は大きく広がるのではないでしょうか。

(有)今岡モールディング

未来図
3年後
会社の自力をつけるために、仕事の効率化や人員を増やして戦力UPすることが最優先課題と考えています。そのためには、社員のモチベーションUPや、チームワークの強化が必要。その実現に向けて全力を挙げて取り組んでいきます。社員には、仕事での誇りや、やりがいと共に、私生活も充実させ、長く楽しく幸せに働いてほしいと思っています。
10年後
10年後を目途に、「メーカーになる」のが目標。直接お客様が手にし、喜んでもらえるモノを作りたい。弊社単独ではなく、たとえば製品設計や金属加工、電子基板を作っている会社など、大田区のさまざまな会社に声をかけて協力しあって最終的な商品を作ることをめざしています。
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