「社員にしてください」と、自ら直談判!
こんにちはー! 『おおたシゴト未来図』レポーターのヤマウチです。今回ご紹介するのは住宅のリフォームを手がける「ガクヨー株式会社」さんです。
リフォームって、最近よく聞きますよね、テレビ番組でも取り上げられることが多いし。住宅の基本性能が上がったことで、少し手を加えたら長く住み続けられるようになって、市場が活況なのかもしれません。
そんなリフォームを専門とするガクヨーは京浜急行線「大鳥居」駅から徒歩1分。環状八号線と産業道路の交差点近くにあります。環八沿いに大きな看板も出ているので、見たことがある人もいるかも。
今から半世紀前の1970(昭和45)年創業のガクヨー。当時はまだリフォームが営繕と呼ばれていた時代でした。水道修理などからスタートし、現在は、ほぼ建て直しのような全面改修なども手がけているそうです。
また、30年近く前から住宅設備グループであるリクシルのパートナーショップになったことで、より多くの人に知られるようになったようです。
ではここでスタッフの方に登場してもらいましょう。今回お話を伺う、リフォームアドバイザーの安田将太さんです。ちなみに2人が手にしているのはガクヨーのマスコットキャラクター、ゴリラのゴリちゃんです。
店舗に飾ってあるゴリちゃんのぬいぐるみなどは、実はお客様が作ってプレゼントしてくれたものなのだとか。その辺りからもお客様とのコミュニケーションの良さが伝わってきますね。
- 安田 将太(やすだ しょうた)さん
- 2014年入社。「将来はデスクワークよりも、外に出て身体を動かす現場監督のような仕事がしたい」と、地元蒲田の専門学校で建築を学んだ安田さん。最近は仕事にも慣れ、お客様や社長からも信頼されるようになってきました。ちなみについ最近結婚したばかり。一家の大黒柱として、これまで以上に頑張っています。
ガクヨーのリフォームアドバイザーは、営業から設計、見積り、現場監督など、すべての業務を一貫して行うお仕事だとか。すべてを担当するなんて大変そうだなと思いながら、まずは入社までの経緯を聞いてみました。
-
安田さんが就職先にこちらを選んだのはなぜなんですか?
-
もともと生まれも育ちもこの近所なので、この会社のことは知っていたんです。それでリフォームっていうのも面白そうだなと思って。
-
なるほど、じゃあこちらの求人票を学校で目にして…。
-
いえ、働かせてくださいと直接お願いに来ました。
-
えっ! そんな就職活動ってあるんですか? 飛び込み営業ならぬ飛び込み就活じゃないですか。
実は社長の小林健太郎さんは、未経験者の安田さんの採用には反対だったそうです。でも会長の小林剛太郎さんが、飛び込みでやって来た安田さんの心意気を評価して採用になったのだとか。小林会長の目に狂いはなかったわけで、小林社長も現在では安田さんを信頼して多くの仕事を任せています。
とはいうものの、入社当初は「何が分からないのかさえ分からない」状態だった安田さん。ですが、社長やスタッフの皆さんの指導や、先輩社員の現場に同行して仕事のイロハを学んだことで、現在はガクヨーの重要な戦力となっています。
リフォームと新築の違いとして、新築は一から作るので設計図通りに建てればいいけれど、リフォームの場合は、すでに建っているものを改修するため、さまざまな制約があるといった難しさがあります。
また「改修のために壁を剥がしてみたら、想像以上に腐食部分が大きかった」なんていう想定外の事態も日常茶飯事。職人さんを指揮する安田さんも常に現場に張りついて、そうした事態に対応しています。大変だけど、責任もやりがいも大きい仕事に違いありません。
建設現場で求められるのは臨機応変さ
「口で説明するよりも現場を見ていただいたほうが早いので、ちょっと現場に行きませんか?」と安田さんからお誘いが。ぜひ、お願いします!
というワケで、社用車で現場に向かうの図。安田さんのポーズ取らされてる感がハンパありません。
連れて行ってもらったのは、事務所から車で約5分。羽田空港近くの、道路から奥まった場所にある古い一軒家。築50年以上のこの家を全面改修中なのだとか。
「さあ、どうぞ中へ」と案内されたら、室内は天井も壁も剥がされた状態でした。
-
うわぁ、確かに壁を剥がしてみないと内部の様子は分からないですね。
-
この家は外壁と構造体だけを残し、断熱材などもしっかりと入れて中身はモダンな住宅へと改修します。
-
全面改修を行うなら、いっそ建て替えちゃっても価格はそれほど変わらないのでは?
-
そういう場合もありますが、道路に面していない建物などは、建築基準法で再建築ができないんです。そこでリフォームを行う場合が多いですね。
-
確かにこの物件も道路に接していないから、再建築不可物件ってことになるのか…。
-
大田区のこの辺りには、そういう物件がまだたくさん残っているんですよ。
ガクヨーでは小さな修繕工事も含めると、年間130件ほどの案件を請け負っているそうです。
見学させていただいた現場はその中でも比較的大規模なもので、現場の責任者でもある安田さんは、工事の進行に関するすべてを取り仕切っています。そこで重要になるのが段取り力。
工事はいろいろな業者さんに順番にお願いすることになります。どの工程にどれくらいの日数がかかり、どんな資材がどれくらいの量必要になるのか。それらをきちんと把握してスケジュールを組まないと、予定した日数で工事が終わらなかったり、業者さんは来ているのに資材が届いていなかったりと、トラブルの原因になると言います。
しかもリフォームは、工事の途中でいろいろな不具合が見つかったりするので、常にスケジュールの組み直しをしなければいけません。
さらに、「昨年のように大きな台風が来たときも、予定を組み直す必要があります」と、自然災害も大きな脅威に。安田さんの気が休まる日はなかなか訪れません。
全工程を任されるから、達成感も大きい
-
何が一番のやりがいですか?
-
もちろんお客様に喜んでいただけることが一番。でもリフォームの仕事って、ひとつとして同じものがないんです。毎回新たな現場で新しいことに取り組めるのが、この仕事の面白みですね。
-
確かに、現場ごとにお客様の要望も違いますしね。現場監督だけではなく、すべての業務を担当していると聞いたのですが。
-
はい。リフォームをご希望されるお客様の対応から、図面を書いたり見積もりを作ったり。やることはいっぱいありますね。
-
でも多くのリフォーム会社は、営業や設計、現場監督など分業して担当していますよね?
-
そこが他社と決定的に違うところだと思いますよ。
住宅販売やリフォームでよく聞かれる苦情の一つが、「いろいろ相談に乗ってくれていた営業の人が、契約した途端に顔を見せなくなり、初対面の現場の人と施工を進める」点です。大きな買い物なのに、「最初に言った要望が伝わっていない」など、いろいろな不満が聞かれることの多いこの分業システム。そこでガクヨーでは、リフォームアドバイザーが案件の一切を担当し、お客様の直接の窓口に。気心の知れた相手だから要望も臆せず言えるし、結果として満足度の高い仕上がりになるそうです。
う〜ん。リフォームアドバイザーの仕事は大変なんではないかと。そんな疑問を安田さんにぶつけてみました。
「確かにやることは多くなるんですが、お客様の要望の細かなニュアンスまで現場で形にすることができます。結果として、一つひとつの仕事の達成感も大きくなりますね」
ちなみに、ガクヨーのもう一つの特長が「地域密着」。
会社から半径3キロ内にある案件を主に取り扱うとのことで、現場に自転車で行くことも多いそうです。また、お客様からの紹介でリフォームの依頼に来たという新規のお客様も多いのだとか。
会社としても地域の特性を知っている分、提案もしやすいし、お客様としても安心して任せられるのかも。
そうしたお客様のために年に1回、神社で感謝祭を行ったり、毎年お客様と一緒にヒノキの植林に出かけるなど、地域貢献活動にも力を入れているガクヨー。しっかりとこの街に根付いていると感じました。
それから今回お伺いして強く感じたのは、社員の皆さんの仲の良さ。実はリフォーム現場の撮影のときも事務所にいた人が全員来てくれて、「こういうシーンがいいんじゃない?」とか、安田さんに「あそこを指さすといいよ」とか、実に賑やかでした。
このシーンを撮影したときも、カメラの後ろには事務所の皆さんがいました! 何となく、安田さんが社員の皆さんに手取り足取り、世話を焼いてもらいながら一人前になっていった様子が目に浮かびます。
ガクヨーなら、建設関係が未経験の人でも、きっと一人前にしてもらえるのではないでしょうか。
小林社長が「無理に事業を拡大するよりも、社員が喜んで働く環境であることが大事。それがいい仕事につながるし、お客様にも喜んでいただける」と語っていたことが印象的でした。
安田さんの取材撮影にも皆が意見を出し合う「いい意味でのおせっかい」が、この会社の一番の魅力。社員を家族のように大切に考える、そんな雰囲気が会社中にあふれていました。
ガクヨー株式会社の
- 会社として一番重視しているのは、社員の幸福。だから急激な事業拡大は考えていません。けれども安田君も経験を積み、お客様の信頼を得ているので、3年以内には彼を店長に据えて、ビジネスの幅を少し広げようと思っています。その際には半径3キロ圏内にこだわらず、新たなフィールドで活躍してもらうことになるかもしれません。
- 高齢化や人口減、都市部への人口集中など、リフォーム市場には追い風もあれば向かい風も吹いています。5年前には現状を予測できましたが、変化の激しい時代となり、10年後を予測することは容易ではありません。まずは会社をしっかりと維持し、さらに事業を拡大させたい。そこへつなげるためにも、現在のお客様とのお仕事にしっかりと取り組んでいきます。