大田区には様々な魅力にあふれるお店がたくさんあります。商い活性化コーディネーターとして街回りをするなかで、「ここのお店いいな」と感じた魅力や、中小企業診断士の立場から、繁盛店に共通する考え方、お店づくり、商品づくりのヒントをいくつかご紹介させていただければと思います。
一般的に、お店を運営するにあたってのポイントとして、きれいな佇まいのお店にして、店内外を清潔に、商品整理が適度になされ、照明も明るくピンポイントに、陳列もメリハリをつけて・・・・などなどといったセオリーが思い浮かびます。
ただ、実際に街を回ってみて上記のような模範例となる繁盛店もあれば、まさにその逆の佇まいでもお客様が絶えない繁盛店もあるのが面白い所です。それぞれのお店を観察してみますと、どちらにしても共通して言えるのはその店「ならでは」の「魅力」があるように感じます。ではその「魅力」とはどういったことで、どのようにつくったらよいのでしょうか。
「あのお店はなんとなく、いつも通ってしまうんだ。」
このようにコメントするお客様がいるとします。そのお客様が「なんとなく通ってしまう」と言っている言葉の中には、実はいくつもの言葉には表現できないけれど、そのお店で感じた複数の「小さな魅力」が詰まっていることが多いです。
その「小さな魅力」をさらに詳細に分解して聞いてみると、
- 接客してくれる店員さんがいつも笑顔
- 何度か通っていたら、顔を覚えてちょっとおまけしてくれる
- 決して新しく清潔感があるわけではないけど、整理整頓されたお店
- 毎回行くたびに、新しい企画商品があって面白い
- いつも行くと、共通の趣味の話で盛り上がる
- 店主がやっているブログやインスタグラムが独特のキャラクターで面白い
- なんだかんだで、他より安くてよい商品がいくつも並んでいる
このような感じで、お客様が何となく良いと感じている背景には、言葉で表すと実は複数の要素で小さな魅力が積み重なっていることが多いのです。
「小さな差別化」の積み重ねで築いていく
普段お客様はいちいち頭の中でそれらの小さな魅力について考えることはありません。ただなんとなく好きだなあ、といった感覚で足を運ぶのです。この「何となく好きだなあという思い」を抱くお客様を、一人でも多くつくっていくことが繁盛店の一つのコツであると私は考えます。
企業経営やお店の経営をする際に「差別化」という言葉をどこかで聞かれたことがあるかもしれません。他のお店と「差別化」して、自店の魅力を上げていくことが、経営上で大切なことは言うまでもありません。ではこの「差別化」をするにあたって、どのようにしていけば「差別化」ができるのでしょうか。
それは、今紹介した「小さな魅力」をお客様に対してできるだけたくさん提供していくこと、「小さな魅力」をたくさん並べてお客様に働きかけていく努力をぜひして頂ければと思います。
「差別化」というと、言葉面が仰々しく、ハードルを高く感じるかもしれません。しかし「差別化」とはこのような「小さな魅力」=「小さな差別化」の積み重ねで、築くことができるのです。まずは、笑顔で接客を心掛けてみる、お店は古いけれども、改めて要らないものを捨て整理整頓をする、インスタグラムでちょこちょこたわいのない話を発信してみる、他には並んでいない商品をつくってみる、このような小さな努力が積み重なり、働きかけることで、いつの間にか差別化が進み、繁盛店となっていく基礎が出来上がるものであると、日々の経営支援現場で感じております。