お客さんの「不安」を解消する

あきない活性化コーディネーター
奥井浩
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経営者さんからビジネス上のお困りごとについて色々とお話を聞かせていただいています。最近「今まで売れていたものがなぜか売れなくなった」と聞くことが増えてきました。そのような話が出た時にお伝えしていることについて少し説明させて頂きます。

ロシアとウクライナの戦争など不安定な国際情勢、そして円安やインフレの影響などの環境変化によりエネルギー価格や食品の価格は上昇しています。家計の支出が大きくなっているのにもかかわらず、大企業のサラリーマン以外の収入は増えていません。

収入が増えなければ支出を抑えるのが当然の結果だと思うのですが、それだけでは今まで売れていたものが売れないことの説明にはなりません。

お客さんがなぜ今まで買っていたものを買わなくなったのか?

その原因を確かめるためには 自分のお店に来店するお客さんに直接聞くのが一番良い方法ですから、アンケート用紙などを店先に設置するのも一つ有力な方法です。

しかし、そのようなお節介を焼いてくれる優しいお客さんはごく一部にすぎません。やはり自らお客さんとコミュニケーション取る、もしくは観察して何を考えているかを推察することが必要になります。

お客さんが「不安」を感じる時

ところで、欲しい物が目の前に現れた時、皆さんはどうしますか? 購入するチャンスが二度と現れないと思えば思い切って購入するかもしれません。しかし、購入したあとで後悔はしないだろうかと心配するケースもあるでしょう。

売場にいるお客さんを見てみると、稀に一度手に取った商品を元の場所に戻すケースがあります。実はこの時、過去にあった失敗、あるいは否定的な意見などを思い出し、購入に対して否定的になってしまったからだと一般的には考えられています。

一度そのような不安が生じてしまうとそのお客さんは色々な不安が次々と脳裏にめぐり、購入することへの期待値が減少してしまい、結果として購入する確率は下がってしまう傾向にあるそうです。

ですから、お客さんを不安にさせないことがとても重要になるのです。



たとえば、数年前ダイエットサービスなどで売上拡大した会社が、誇大広告であるとネット上で拡散し批判を受けた時に売上を落としました。これはお客さんがダイエット商品に対して不安を感じたことで売上を落としたものと考えられます。

また、近年販売額が増加していたオートミールも最近、食べ過ぎると弊害があることや、外国の会社で製造している商品から発がん物質が検出されたことが情報として発信されたことで販売額を落とし始めているようです。

もっと身近なよくある例でお話しますと、店の外から中の様子が全く見えない、価格が分からない飲食店と、中がよく見えて、価格も提示してある飲食店ではどちらを選びますか?当然中が見えて分かりやすい飲食店をほとんどの方が選ぶと思います。


だからこそ、お客さんを不安にさせないためにはまず提供する商品サービスを分かりやすく、見えやすくすること、安心してもらうために情報を正しく伝えることが必要になります。

お客さんの不安解消の一例としては、メーカーによる品質保証やお客様サポート、アフターサービスの充実などがありますので、そのようなサービスを紹介してあげるのも方法の一つです。

また、購入したあとに家族や友人にどのように評価されるか、ということも特に周囲を気にされる方にとっては大きな不安材料になります。

そのような不安を解消してもらうためには、その商品が多くの消費者から既に受け入れられていて評価を受けている実績を示してあげることが重要になります。インターネットでネットショッピングする場合、ネット上でレビューや口コミを見ることができます。それを利用し、評価を教えてあげることも不安解消する方法として有効です。

あきない活性化コーディネーター 奥井浩

りそな銀行に33年間勤務(融資、相談業務、中小企業・公共法人担当など)に従事し2018年独立。
資金調達(融資・補助金・開業)、事業再生、事業承継、採用・研修などお金と人の問題のスペシャリストです。