お店の「物語」を伝える

あきない活性化コーディネーター
納塚大
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お客様が商品やサービスを選ぶ際、商品やサービスの背後にある「物語」に魅かれることがよくあります。今回はお店が持つ独自の「物語」を活かし、お客様の心をつかむための方法についてお話しします。

皆様のお店には、それぞれの歴史や背景、こだわりのある商品やサービスがあることと思います。お客様は単なる商品の説明より、「物語」の方が心に響くことがあります。地域に根差したお店では、地域とのつながりや、お店の歴史、経営者や従業員の思い入れがお客様にとって大きな価値となります。どうすれば「物語」を伝えることができるでしょうか?

まず、皆様は自分のお店の「物語」を明確にしましょう。

例えば、ある老舗の和菓子店は創業100年以上の歴史があり、大田区のお客様に愛され続けています。創業当時からのレシピを守り続け、現在でも昔ながらの手作り製法を貫いています。このような商品は、単なる商品ではありません。時代を超えて受け継がれた「伝統」という「物語」をもった商品となり、お客様により強く魅力を伝えることができます。

また、ある衣料品店では、職人が一つひとつ手作りした商品を取り扱っています。店主は、職人の技術や商品に込められた思いをお客様に伝えることで、商品が持つ「物語」をお客様と共有します。

「このシャツは、職人が一つひとつ手作りしています」「この生地は、伝統的な織物工場で作られています」などの情報をお客様に伝えることで、商品は文化的な価値としてお客様に認識されるようになります。商品の価値が単なる物理的なものを超えるのです。

お客様の心を動かす伝え方

「物語」を伝えるとき、単なる商品やサービスの説明にとどまってしまってはもったいないです。

商品やサービスがどのように生まれたのか、どんな思いが込められているのかを具体的に伝えることが重要です。こうすれば、お客様は商品やサービスに、より深い理解と共感を抱くことになります。

 

お店の「物語」を明確にしたら、SNSやブログ、店頭でのポップを活用して効果的に発信しましょう。

例えば先ほどの和菓子店では季節限定の和菓子を販売しています。販売開始する時に、SNSで「この和菓子は、江戸時代から続くレシピで作られています」などの投稿を行い、商品が持つ背景を発信します。そうすれば、多くのお客様に「物語」を伝えることができます。

お客様が商品やサービスを購入する際、商品やサービスの背後にある「物語」に共感して購入を決めることがよくあります。皆様も自分のお店が持つ「物語」を見つけて、「物語」をお客様に伝える工夫をしてみましょう。

例えば店主の思い、商品が生まれた背景、地元とのつながりなどです。これらを具体的な言葉でしっかりと伝えることで、お客様にとってのお店の魅力はさらに高まります。

「物語」を伝えればお客様とお店の絆が深まります。お店のリピーターが増えるだけでなく、お店のブランド価値も高まります。地域に根差した商店としての強みを活かすことになり、競争の激しい市場での差別化が図れることになります。

あきない活性化コーディネーター 納塚大

印刷系の卸売業と大手スーツメーカーのグループ会社で、法人営業として20年以上の経験を持つ中小企業診断士。
新規事業の経験を通じ、企業の成長に貢献するコンサルティングの道を志す。
営業現場でのトライアンドエラーの積み重ねが、現在の支援活動の礎となっている。
豊富な営業ノウハウを基に、地域の商店や企業の売上向上に尽力している。