今、さまざまな場所で毎週のようにお祭りやマルシェが開催されています。大田区産業振興協会が開催している「フード展示商談会」や「おおたイチ推しマルシェ」などでもそうですが、そうしたイベントの中で、事業者様の間に新しい「関係」、コラボレーションの機会が生まれ、事業の幅を広げていく機会となることもあります。
無視できない「新しい波」
コロナ禍以降、「VUCA(ブーカ)の時代」(変化が激しくて先のことがより見えにくくなっている時代)という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。実際、生活者の行動の変化を肌で感じている方もいらっしゃることと思います。ダーウィンの『種の起源』にある「最も強い種ではなく、最も賢い種でもなく、最も適応力のあるものが生き残る」という言葉の意味を改めて考えさせられます。
店にとって、常にお客様視点を意識して運営していくことの重要性は、さらに高まっています。店はお客様とともに創っていくものという意識が必要でしょう。
しかし、お客様から求められることにただ従っているだけでは、波に飲み込まれてしまいかねません。自店の思いをどうお客様に届け共有していくことができるのか。
それを探そうとするなら、自分だけで頭を抱えていても限界があるでしょう。 まずは、外に出てみるのはどうでしょうか。
「出会いの場」を楽しみながら活かす
今、さまざまな場所で毎週のようにお祭りやマルシェが開催されています。これらは、開かれた楽しみの場、出会いの場です。
マルシェなどイベントへの出店は、ハレ消費(日常的ではない買物)としての売上や、いつものお客様とは違う方々と出会い自分の店や商品のアピールすることができる貴重な機会です。地域のイベントであれば、お客様との触れ合いの中での発見やより親密な関係をつくることが可能ですし、テーマを打ち出したイベントであれば、自分と同じ考え方を持つ他の店の商品や販売スタイルを学んだり、ターゲットとするお客様の反応などを直に知ることができます。
見たり聞いたりしながら、これまで知らなかったお店、新しいお客様と出会う、いつものお客様と違う顔で出会う体験は、商品や売り方についてのヒントを得る格好の機会です。他店を観察することも大きな学びになるでしょう。
けれど、こうした場にはそれ以上の可能性があります。
事業者間でゆるやかに繋がる
実は今、これまでの自分が持つ人脈だけでなく、他のお店と良い関係を築き、情報を交換し合い、時に力を合わせてより魅力的な集客の場や商品をつくっているお店が増えています。
他の販売機会情報を共有する、お互いの商品を販売商品に取り込む、仕入れ先情報を交換する、一緒にイベントを開催するなど、その内容は様々です。
そのきっかけとなっているのが、マルシェなどのイベントなのです。
イベントだけでなく、公的機関あるいは民間が提供する、さまざまなサポートや起業のための経験の場を積極的に活用しながら、その過程で新しい繋がりを作り出している方々もいます。商店街組織などもありますが、その枠を超えた横断的な活動も目につくようになりました。
もし何かそうした場に参加するのであれば、自分をオープンにし、積極的に他の事業者との交流を楽しんで下さい。そこで生まれる関係性、ネットワークの芽は、自店のあるいはご自身の財産となっていくでしょう。それが具体的にどういった財産になるのかは、みなさん自身や新しい仲間が、今何を必要としているかによってさまざまです。
私にはこうした場や繋がりは、商品開発や販路開拓、運営体制にまで影響を与える、自身や自店の幅を広げる玉手箱のように見えるのです。