ファンを増やすお店づくりのポイント

あきない活性化コーディネーター
林和央
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スピード変化を遂げる時代では、消費者のSNSなどのツールを通じた情報収集力も高まっております。消費者の購買傾向も変化する中、より一目置かれるお店や商品にしていくにはどうしたらよいか。 これからお店を始める又は始めたばかりの方々をメインに、なにかのヒントやキッカケになりましたら幸いです。

お店や店主のこだわりを可視化させること

お店の業種やコンセプトにもよりますが、私が今までご一緒させていただいた企業やお店でとても上手だと思った事例に持論も交えてひとつご紹介させていただきます。

町の雑貨店で、店舗名→コンセプト→空間演出(ディスプレイ)→展開商品までが一貫しており分かりやすく、各商品には手書きのPOPがマメに設置されており「だからここにこの商品があるのか!」と都度腑に落ちて、気付いたときには私も消費者としてついついその世界観に入り込み商品を購入していました。

さらにはそのお店の売り(強み)となる商品があり、分かりやすい位置と高さに陳列されていてこちらにも説得性に溢れた欲しくなる要素がPOPに書かれていました。価格もお手頃で複数購入しました (後から店主に聞いた話ですが、売りにしている商品の購買率はとても高く約40%で、ほぼ2〜3人に1人が購入下さるそうです)。

このお店の凄さは、店名とコンセプトや全体像、商品まで筋が通っており分かりやすく、顧客が店内でストレスなく良い状態で商品を選んでおり購買に結びつけていけているところでした。 店内で商品を見ているお客さまは「買おうかどうしようか」の迷いではなく「どの色にしようか」などの楽しそうな迷いでした。

これを見て

「顧客は店主によって意図的に購買心理を高められその世界観と商品を楽しんで購入へと導かれている」

と感じました。

また、売り(強み)となる商品があるのは、売上のベースになるという意味でも重要ですし、その商品が顧客にとっての「記憶の種」となり、お店のファンとなるキッカケになっていると感じました。

雑貨愛に溢れている店主だからこそ、それが伝わる店内と商品になっており、壁のないふんわりした口調の接客は、顧客をよく見ており(相手軸の思考で)捉えた応対が見事で、商品知識にも関心しました。

以上のことから、

  • 店名やコンセプトから演出と商品が一貫している
  • 売り(強み)商品がある
  • 雑貨愛が隅々まで行き届いている
  • 店主による雰囲気づくり(良い空気が流れている)
  • 自分軸(商品提案する側)と相手軸(顧客の心を動かす見せ方や話し方)の両立

    この全体を「線」で繋いで可視化することが、一目置かれるうえでひとつの大きな要素だと感じました。

    身近な例であげると「蔦屋書店」や「無印良品」や「Kona's coffee(コナズコーヒー)」などがそうです。明確なコンセプトから空間の演出、商品まで一貫した店舗展開を行い、顧客自身もその店舗から得られるモノや体験を認知しています。その結果、店舗に対する信頼やファンと呼べるような層の獲得に成功しています。

    実施の仕方はアイデア次第で様々な施し方があると思いますので、ぜひ更なる可視化で全体を表現してみてはいかがでしょうか。

    あきない活性化コーディネーター 林和央

    大学卒業後JR東日本グループに入社。エキナカ小売業の営業本部やディベロッパー事業に所属し、雑貨業態に関わる事業をメインに店舗立ち上げや空間演出、バイイングから販売までのすべてを運営。エキナカPOP UPや企画イベント実施などもビッグターミナル駅で数多く手掛け、エキナカの新たな戦略軸を構築。その後、雑貨総合卸問屋へ入社し経営戦略の柱として新規事業部を開設し実績に大きく貢献。2018年に起業し「日本各地の更なる魅力を発信する仕掛け人」として、モノづくりや空間演出、総合プロデュースなど多岐に渡る事業をおこなっている。