ファンを増やすお店づくりのポイント ~その2~

あきない活性化コーディネーター
林 和央
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前回は「より一目置かれるお店や商品にしていくにはどうしたらよいか」を主題に書かせていただきましたが、今回は~その2~として、具体的な事例を織り交ぜながら書かせていただきます。これからお店を始める又は始めたばかりの方々はもちろん、現在店舗運営をされている方にとってもなにかのヒントやキッカケになりましたら幸いです。

事例『N&H CAFÉ』

今年の2月に調布市で開業したばかりのCAFÉ店舗について取り上げたいと思います。

こちらのCAFÉは就労継続支援B型として、障害を持っている方などが働く環境づくりとした障害福祉サービスのひとつで、社会貢献性も兼ねたCAFÉとなっています(現在指定申請手続中)。

「毎日食べたくなる、毎日行きたくなるお店」をテーマとした地域密着型店舗で、その店内の空間演出、ロゴデザイン、商品ひとつひとつへのこだわりやそのクオリティでファンを着々と増やし続けています。

CAFÉの商品はすべて店内で製造しており、メイン商品は自家焙煎珈琲、タルトやプリンなどのスイーツ、スコーンや焼き菓子、カレーなどのランチメニューもあり土日や平日昼はほぼ満席となるほどの人気です。ちなみにSNSなどの発信は特別に積極的ではありません。

(住所:東京都調布市深大寺東町7-47-1 ブランチ調布1階 N&H CAFÉ アムストラムグラム調布ワークス)

では、なぜ開業したばかりなのにファンや安定顧客がついているのでしょうか。

商品、お店、スタッフの三位一体でファン獲得

自信を持ってお届けする商品、ワクワクするディスプレイと空間、「お客さまに喜んでいただき、また来てほしい」という気持ちでのスタッフの応対(気張り過ぎず親近感溢れている)が一体となって顧客を惹きつけ、「自分の居場所、マイショップ」としてリピート利用されています。三位一体のCAFÉに顧客も一体となっている様子がとても印象的でした。

事業分野の多角化

この当該CAFÉの強みは、持ち合わせている要素を融合させた取り組みをおこない、CAFÉ営業以外にも事業分野を広げていることです。具体的には以下の取り組みをおこなっています

  • オリジナル商品の製造受託(オリジナル商品開発やOEMなど)
  • 自社製品の卸販売
  • 他社商品の仲卸
  • 商品パッケージデザインの作成
  • 店舗開発や空間演出アドバイザー

また、展示会などへも出展し、福島県、東京都、神奈川県、宮崎県などの飲食店や雑貨店舗などでもすでに当該CAFÉ商品が販売されています。

まとめ

このN&H CAFÉを通じてお伝えしたいと思った内容は、

  1. 商品やお店づくりはもちろん大切ですが、スタッフによってこの雰囲気に磨きを掛けつつ柔らかい空間を仕上げ、提供することで顧客の心を掴んでいること
  2. 多角な戦略で当該CAFÉの味、パッケージ(主にロゴデザイン)を発信・販売してくれる「販売店」という仲間が掛け算となって、より広い範囲、速いスピードでのCAFÉの信頼と知名度の向上を実現させ、調布に構えたCAFÉ店舗を拠点としながらも「攻め」の体制であること

この1と2の両立で、BtoC、BtoB関わらずCAFÉ利用客の方々や卸売の販売先の方々といった顧客を「仲間」にしていき、より一目置かれるお店や商品となることで当該CAFÉ「ならでは」を実現させていました。

実施の仕方は、独自の強みの活かし方次第で様々あると思いますので、ぜひ更なる「ならでは」を抽出してみてはいかがでしょうか。

あきない活性化コーディネーター 林 和央

大学卒業後JR東日本グループに入社。 エキナカ小売業の営業本部やディベロッパー事業に所属し、雑貨業態に関わる事業をメインに店舗立ち上げや空間演出、バイイングから販売までのすべてを運営。 エキナカPOP UPや企画イベント実施などもビッグターミナル駅で数多く手掛け、エキナカの新たな戦略軸を構築。 その後、雑貨総合卸問屋へ入社し経営戦略の柱として新規事業部を開設し実績に大きく貢献。 2018年に起業し「日本各地の更なる魅力を発信する仕掛け人」として、モノづくりや空間演出、総合プロデュースなど多岐に渡る事業をおこなっている。