生成AIは中小企業の課題解決に寄与する 翻訳現場から生まれた技術支援とは

大田区南六郷創業者支援施設『六郷BASE』を拠点に、翻訳業務の効率化を目指した機械翻訳や言語処理ツールの技術支援などに取り組まれている合同会社NODATECH。
7年ほど前に突然Google翻訳の精度が高くなったことに衝撃を受け、「同じ技術を利用したAIを活用しないと時代に乗り遅れるのでは」という危機感から、誰でも生成AIを活用することができるような独自ステムを開発し、普及活動に尽力されている野田代表にお話を伺いました。

合同会社NODATECH 代表 野田典弘氏

翻訳の現場で生じた危機感から、生成AIを活用した支援を開始

─これまでのキャリアを教えてください。

もともとは家電製品に組み込むファームウェアのプログラマーとしてキャリアをスタートしました。その後、今の仕事のベースとなっている外資系翻訳会社でエンジニアとして勤務。退職後に「翻訳会社向けのITサポート・開発支援業務」の会社を設立しました。当時、国内の翻訳会社はITとは無縁の会社がほとんどでしたので、需要があるのではないかと考えたからです。
のちに個人事業に変更し、偶然、産業プラザにあったコワーキングスペースを利用する中で、24時間個室が使える創業支援施設『六郷BASE』の存在を知り入居しました。現在は、合同会社NODATECHを立ち上げ、翻訳会社向けのIT支援、開発、技術サポート、AIシステムの開発に携わっています。

─なぜ生成AIを活用するシステムを開発されたのでしょうか。

近年Google翻訳やDeepLといった質の高い機械翻訳が世に出始めてから、上手く取り入れられるか・取り入れられないかで翻訳業界が二極化したことがきっかけです。 翻訳は機械に任せ、自身はチェックに徹するなど機械翻訳を上手く取り入れた翻訳者の中には収入が5倍になった人もおり、取り入れられなかった翻訳者は仕事が減ったと聞いています。
翻訳に限らず、AIを取り入れることが企業に革新と成長をもたらすと考え、多くの方が業務で上手くAIを活用できるシステムを開発しました。

生成AIは中小企業の課題解決に寄与する

─生成AIのメリットと注意点を教えてください。

企業が導入するメリットは、低コストで知的労働の生産性向上が図られる点です。具体的には、プログラム作成、文書作成、議事録作成や要約、アイディア出し、翻訳などの作業を簡単に依頼できることが挙げられます。中小企業にとって特に有益なのは、生成AIを活用することで、業務効率の向上やコスト削減、人材不足の解消などが期待できます。
一方で注意する点は、文字列を確率的に組み合わせて回答文を作成しているため、誤った情報を出力する場合があることです。そのため、生成AIの回答に対しては自分で責任を持てる範囲、すなわち自分が正誤を判断できる分野にて利用するべきです。実際問題として生成AIが悪用されたり詐欺に利用されたりするリスクもありますが、拒絶するのではなく、受け入れて、活用し、学ぶことでリスクも適切にコントロールしていくことが大切です。

誰もが生成AIを活用できるように開発した独自システム

─野田様が開発された「Zecolla」と「GenTA」について教えてください。

ITが苦手な方がChatGPTよりも容易に最適な回答が得られるように、また直感的に操作しやすい画面となるように、チャットボット選択形式のシステムを開発しました。「英語翻訳者」や「議事録担当者」など生成AIにあらかじめ役割を与えることで、その生成AIが翻訳者のような質の高い翻訳をしたり、議事録のデータをタスクごとに振り分けたりするなど、役割に特化した回答を得ることができます。
「Zecolla(ゼコラ)」は個人向け、「GenTA(ゲンタ)」は企業向けに作成し、「GenTA」は今後代理店経由で販売する計画をしていただいています。将来的に法人向けの機能を追加していく予定です。

生成AIの普及から目指す、大田区への地域貢献

─生成AIに興味のある方が、まず始めるべきことは何でしょうか。

何か疑問に思ったことや知りたい情報があれば、まずChatGPTなどの生成AIに聞いてみてください。圧倒的な速さで回答が返ってきます。仕事で使う場合は、有料プランの方が回答の質が高くおすすめですが、無料プランでも一般的な内容であれば問題なく使用できます。現在はYouTubeに使い方を分かりやすく解説する動画がたくさんありますので、ぜひ活用してみてください。

─最後にNODATECH様として、今後の取り組みや将来の目標を教えてください。

AIに限らず、ITの多くの基本となる技術は無料で公開されています。これは、工場で言うところの工作機械が無料で手に入るようなものです。AIやITを上手に活用すればコストをかけずに中小企業の人材不足の軽減や業務効率化が可能です。諸外国では既に導入され、費用をかけず新商品の開発やビジネスの効率化を実現しています。ただし、活用するにはある程度の知識の習得と、創造性・柔軟性が必要です。日本人の特性として、マニュアル化された技術を習得するのは得意ですが、新しい技術を柔軟に取り入れ、新しいものを創造することが苦手なように思います。今後は生成AI普及のために、まずは大田区で地域コミュニティ向けの勉強会などを開いてIT、AIの人材育成や普及、推進活動に力を注いでいきたいです。

─ありがとうございました。

企業情報

合同会社NODATECH
設立:2022年1月
住所:東京都大田区南六郷3-10-16 六郷BASE 301

 

 

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