人材を大切に育てる組織文化(後編)

人材育成をテーマに、大田区優工場 総合部門賞や東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞 奨励賞などを受賞している西尾硝子鏡工業所様にお話しを伺いました。前編では、人材育成を重視したきっかけや具体的な取り組みについて紹介しましたが、後編では西尾社長の熱い思いからつながった成果および展望と、若手社員の声を紹介します。

株式会社 西尾硝子鏡工業所 代表取締役 西尾 智之 氏

-人材育成取組のこれまでの成果と今後の展望についてお聞きします

特に若手社員に対しては「心の火を燃やし続ける」こと、役割を与えてモチベーションを継続させることが重要であると考えています。私があれこれ言っても響かない。本人に考えてもらい、のびのび仕事ができるようにすることを心がけるべきです。離職率は現在ゼロになっています。

技術系社員の他に、事務系社員の教育についてもOJT等で取り組んでいます。事務所の社員の対応が抜群に丁寧だと褒められたこともあり、他の会社の新入社員研修で弊社に訪問されることもあります。

社内会議においては売上の話はせず、粗利益の話をしています。粗利益を増やすにはお客様に選ばれることが第一です。技術・技能だけではなく、働いている「人」を基準に選んでもらっているということが分かり、社員のモチベーション向上につながっています。

人材育成は、会社・業界・社会への恩返しとして自分の最後の事業と位置づけて取り組んでいます。現在は関係業界への入社応募が少ないため、その原因を突き詰めていって、業界をより魅力的に感じてもらえるように努力をしています。

若手社員インタビュー

2024年1月に入社した事務系の業務部所属の方(以降「事務職Aさん」)と技術系の生産部所属の方(以降「技術職Bさん」)のお二人からお話しを伺いました。

-現在の業務内容を教えてください

 (事務職 Aさん)

受注対応をし、指示書を工場に送付して加工・製造依頼を行っています。他に売上処理、電話対応、発注対応をしています。 また展示会に従事し弊社の技術・製品の説明をしたり、発注者であるお客様のところに出張をしたりすることもあります。

 (技術職 Bさん)

ガラス周辺の金物の切削加工をメインで行っています。また、人員が足りていない部署に応援しにいくこともあります。もともと趣味で「ものづくり」をしていたため様々な手法でガラスの加工に携わることができる点は、やはりやりがいを感じます。

-西尾硝子鏡工業所に就社した理由を教えてください

 (事務職 Aさん)

ホームページに会社の経営理念の他に、設備情報や技術情報が分かりやすく記載してあり、イメージがつきやすかったからです。施工事例では鏡が様々なところで使われていることが分かりました。動画もあり、同年代の女性が働いていることが分かり、安心して働ける会社であると思いました。

 (技術職 Bさん)

ものづくりの仕事を探しており、ハローワークの集団面接会をきっかけに工場見学会に参加しました。社員の皆さんの対応や雰囲気がいいなあと感じました。また、これから新しい仕事に臨むにあたり、年齢についてもポジティブにとらえていただきました。

-貴社の良いところは何ですか

 (事務職 Aさん)

工場で働く人とのコミュニケーションが取りやすいところですね。加工で分からない事があれば、工場に行って直接話を聞けますし、作業工程を自分の目で見ることが出来るので理解しやすいです。私が所属している事務所含め、若手・ベテラン社員関係なく、全体的に話しやすい環境です。

 (技術職 Bさん)

接客業から、ものづくり業界へ転職しました。転職して仕事が楽しいと思えるようになりました。人生が豊かになりました。また、先輩社員との距離が近く、ベテラン社員の方でも丁寧に教えていただき、声がけもしてくれます。強く怒る人とかは一人もいなくて、優しくてすごく良い雰囲気です。

-会社の育成方法はいかがですか

 (事務職 Aさん)

質問がしやすく、初めてやることは細かく指導してもらえます。一定の仕事も任せてもらっています。朝の読書会では工場の人とも話すことができ、仕事以外のことや、その人の考え方もわかります。

 (技術職 Bさん)

入社して、しばらくはガラスへのフィルム貼りを教わりました。先輩方の教え方が上手なので、3か月で基本的な技術を習得できました。現在は金物の加工を教えていただいています。シニア雇用の人に教えていただいています。その方がいない時に難しい注文があった際には、フィルム貼りを教えていただいた先輩などが代わって指導してくれます。急ぐ仕事やトラブルなどがなければきっちり定時で帰ることができ、休憩時間も決まっていてメリハリがあります。

-最後に今後の目標についてお聞かせください

 (事務職 Aさん)

現場・工場の業務を実際に見て理解し、自分の言葉で「西尾硝子鏡工業所」の加工技術・製品を一般の人にも分かるように説明できるようになりたいです。

 (技術職 Bさん)

特殊な加工が必要な場合でも、「これはこういうふうにすればできる」とアイディアが出せるようになりたいです。色々な技術を身につけて、完成形を思い描けるようになり、誰かが困っている時に手助けできるようになりたいです。職人の技術は感覚的な部分も多いので、まだまだ修練が必要です。

編集後記

 ─人材育成のプログラムを軌道に乗せるには相当苦労があり、テクニックではなく、社長および社員全員で考えて実行し、粘り強く継続していくことが肝心と実感されたそうです。若手社員が安心して働き、明確な目標も持って仕事に取組む姿をうかがうことができ、人材育成が成功しているように感じました。

企業情報

株式会社西尾硝子鏡工業所
設立:1932年7月
住所:東京都大田区大森北5-9-12
ウェブサイト:https://www.nishio-m.co.jp

 

 

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