市場と市場のつなぎ役! 野菜を全国へ行き渡らせることで市場も農家も消費者も元気に

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市場のネットワークを駆使して、余った野菜を全国へ

どーも! はじめまして。『おおたシゴト未来図』レポーターのヤマウチです。

野菜を指差すレポーターのヤマウチ

さて今回訪ねるのは「京都三友青果株式会社」という会社。って、京都の会社? 八百屋さん? その辺を聞きに、オフィスへ向かいます。京都三友青果があるのは京浜急行線「大森町」駅から徒歩約6分。産業道路沿いなので分かりやすいですね。

現地に到着すると、事務所はビルの3階とのこと。勝手に倉庫のような場所をイメージしていたんですが。階段を上ってピンポーンとインターホンを押すと、今回お話をしてくださる本村光平さんが出迎えてくださいました。

取材対象者の村本さんと握手で挨拶

あれ?何だかシュッとした格好をされてるんですが。勝手にねじりハチマキに作業着を着ているような方をイメージしてたんだけどなぁ…。しかも中にお邪魔するとデスクとパソコンが置いてある程度の、意外とシンプルな室内。頭の上に浮かんだたくさんの?マークを消すために、早速本村さんに会社のことを教えてもらいましょう。

本村 光平(もとむら こうへい)さん
2009年入社。京都の大学を卒業後、「社員数が少ないから、自分の色を出していけるかも」と考えて、京都三友青果に入社。現在は東京支店の責任者として、ビジネスの拡充をめざしている真っ最中。「野菜の知識もビジネスの知識も、仕事をしながら学んでいけば大丈夫。それよりも、人と話すことが好きな人が向いていると思います。あと、自動車免許はあったほうがいいですね」とのこと。

京都三友青果は1981年に、名前の通り京都で創業した会社。大田区にある事業所は2017年に開設された、京都三友青果初の東京支店になります。ちなみに「三友」という名前の由来は、三人の仲間で会社を立ち上げたから。そして業種としては青果物卸売業、転送業とのことです。

具体的には、どんなお仕事になるんですか?

日本全国にある青果市場で余ってしまった野菜を、別の市場へ売る仕事です。

へー、そういうお仕事があるんですね。

私たちは全国の市場にネットワークがありますから、それを活用して販売するんです。

売りたいと思っている人と、買いたいと思っている人をつなげるわけですね。

はい。この仕事を通して、いい商品を適正な価格で流通させることに貢献できていると思います。

本村さんインタビューショット

もちろん余った野菜を売るといっても、10個や20個ではありません。100ケース単位で売買をするので、1日に動かすお金も200万円、300万円になるのだとか。

「野菜に決まった価格がないので、営業個人で売値、買値を決めることが出来ます。それは弊社の魅力の一つです」

また、余った野菜を別の市場に売るだけでなく、市場の人から「この野菜、どこかに余ってない?」と相談され、それを買い付けるといったこともあるそうです。

京都三友青果本社のロゴマーク

もし、京都三友青果のような会社がないとすると、市場で余ってしまった野菜はグッと価格を下げて販売するか、最悪の場合は廃棄をするしかなくなってしまいます。でも、他の市場で買い手が見つかれば、少し価格を下げる程度で売ることができるのです。
「もし弊社のような会社が存在せず、余った野菜を市場が安価で売り叩いていると、市場自体の価値も下がっちゃうんですよ」と本村さん。

どういうことかというと、余った野菜をグッと値を下げてさばいたりしていると、農家がその市場に野菜を卸しても高く売れないと判断し、敬遠してしまうのだとか。そうすると野菜が上手く流通しなくなって、最終的には消費者にも美味しい野菜が届かなくなってしまうことに。それ、困ります! 市場に出回っている野菜を余らせることなく、適正な価格を維持しながら売り切る。マーケットの需要と供給のバランスを保つために欠かせないのが、京都三友青果のような会社なのです。

ちなみに同業他社は数社あるそうですが、「弊社がこのようなビジネスを初期の頃から始めたからなのか、なぜか京都に同業他社が多いんですよね」と本村さん。とはいうものの、ライバルがそれほど多くないということは、これから先も安心なのかもしれませんね。

本村さんインタビューショット

実は青果などを扱う市場は、大きなものだけでも全国に100カ所以上あるのだとか。
都内にも葛西や北足立、世田谷など、各地に点在しています。中でも最も大きいのが、大田区臨海部にある大田市場。いや、確かに首都高を走っていてもその広さは目を引きますよね。そして都内一どころか日本一、アジア一とも言われる施設の規模と取扱量を誇っています。
そんな巨大な市場があるからこそ、京都三友青果も東京に進出したんですね。

在庫を持たずに商売ができるという強み

東京支店のオフィス風景

じゃあ、本村さんは毎朝大田市場へ行って、余った野菜を買い付けるわけですね。

いや、市場へ出向くことはそんなに多くはないですね。

だとすると、普段はどうやって仕事をしているんですか?

だいたいこのオフィスで市場の方と電話でやりとりをして、話を進めます。

だからかー! なんかシュッとした格好してて、八百屋さん感ゼロだなって思ってました。

そうですね、仕事の中で野菜の段ボールを運んだりすることは、まずないですね。

ちなみに昨年6月に入社した新人さんも、シュッとした格好でした。

仕事中の新人

話を戻しますが、京都三友青果のビジネススタイルは、基本電話で市場関係者に余った野菜がないかを聞き、あればそれを求めている別の市場関係者に売るというもの。配送は提携している運送業者の人が担当しています。本村さんは自社のビジネスについて「在庫を一切持たずに、商売ができるんですよ」と言います。

京都三友青果のビジネスの強みって、この「在庫を持たないこと」なんですよね。特に日持ちのしない青果を扱う上で、コレってすごく重要なこと。創業以来、一度も赤字決済がないというのも納得です。

しかも(何度も言うけど、在庫を持たずに)京都三友青果が取り扱っている野菜という商品は、私たちが生活していく上で絶対に欠かせないもの。目の付け所が素晴らしい。しかも「野菜を余らせない」って、さりげなくエコにも貢献しているんですね。

大田市場の在庫を確認して他の市場に連絡する本村さん

人に信頼されてビジネスが進むという面白み

「京都三友青果のビジネスってよく考えられているんだなぁ」とボンヤリ思っていたのですが、でもやっぱり大変な部分もあるのでは? どうですか、本村さん!

そうですねぇ…。強いて言えば、朝が早いということでしょうか。

市場と仕事をするわけだから、早くなるのもしょうがないですよね。で、始業は何時なんですか?

6時30分です。

そうですか6時30分ですか…。って、冬なら夜明け前じゃないですか!

そうなんです。だからオフィスへ通うことを考えると、社員が住んでいる場所も限定されちゃうんですね。

じゃあ本村さんも?

はい、私は会社の近所に住んでいて、もう一人も田町から通っています。

まぁ確かに大田市場の青果部の競りが始まるのが6時50分だから、どうしても仕事のスタートが早くなるのはしょうがないところです。

ただ、本村さんのお仕事は「余った野菜をどうするか」だから、競りの前から仕事をしなくてもいいはずではという疑問に本村さんは、「実は始業時間は、京都本社に合わせているだけなんですけれど、今後は検討の余地アリですね」と答えてくれました。
もしかすると、今後は出社時間が遅くなるかもしれませんね。

新人からの相談にアドバイスを送る

ただ、出社時間が早い分、いいこともあります。それは退社時間も早くなるということ。京都三友青果の場合、終業は15時30分。アフターファイブどころかアフタースリー。ハッピーアワーも始まっていません。

「だから、退勤後にスポーツジムに通ってる、めっちゃマッチョな社員も京都にはいますよ」

ちなみに本村さんは、飲みに行く派とのこと。大森駅周辺がお気に入りだそうです。

本村さんインタビューショット

そんな京都三友青果の、仕事のやりがいについても本村さんに聞いてみました。

「売上が上がると嬉しいけれど、一番は市場のお客さんに信頼されてるなと感じるときが嬉しい。やっぱり『人』の部分ですかね」

京都三友青果では営業社員がそれぞれ、担当する野菜を決めています。本村さんが担当しているのはレタス。葉物野菜で日持ちがせず、品質の見極めも容易ではありません。
このレタスでビジネスを上手く回せるのは、本村さんの経験値もありますが、お客さんである市場の人たちの信頼があってこそだとか。

「業務は電話一本で済みますが、そうした関係を築きたいので市場にもよく顔を出すんです」

なるほど、だから大田区に事務所を構えたんですね。京都時代の本村さんは、仲良くなったお客さんの結婚式に出席したこともあるのだとか。

「そんな信頼関係を東京でも築いて、ビジネスを広げていきたいですね」

本村さんとレタスについて談笑するヤマウチ

事務所へ伺うまでは「野菜を転売する会社?」みたいな印象を持っていましたが、お話を伺うほど目の付け所は素晴らしい、今の時代に欠かせないお仕事だと感じました。何より市場関係者、農家、そして消費者すべてに貢献できる点も、この仕事の魅力の一つ。
また、担当する野菜の売買の一切を任されるので、自分の才覚でビジネスを進めたい人にもぴったりだと思います。

京都三友青果の社員

京都三友青果株式会社

未来図
3年後
現在、東京支店は社員が2名だけなので、せめて5人くらいで活動ができるようになっていたいですね。また、京都本社では会社の近所で三友フェスという野菜を販売するイベントを開催するなど、地域貢献活動にも力を入れています。そういった活動を東京でも行っていきたい。
10年後
営業担当の社員を20名ぐらいまで増やして、京都の本社に匹敵するようなスケールのビジネスをしたい。大田市場は規模も大きいし、ビジネスを大きく飛躍させるだけのポテンシャルを秘めていると思います。理想としては、一人が3億円から5億円の売上高くらいまで成長していたいですね。
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