大田区産業振興協会

【令和6年度東京都中小企業技能人材育成大賞 知事賞受賞】 大賞受賞の裏にあった一人一人に寄り添う姿勢とは

大田区でプラスチック成型を手掛けている株式会社岩崎成型様が「令和6年度東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」の大賞を受賞されました。「人材」というワードが注目されている中、受賞に至った取り組みについて四元社長と金城グループ統括長にお話を伺いました。

株式会社岩崎成型

1975年に大田区で設立。従業員数12名。アイデア力と確かな技術を強みに金型製作からプラスチック成型加工を手掛け、なかでもプラスチックと金属などの部品を一体化させる「精密インサート成型」を得意としている。人材育成に関する取り組みは、力量表や教育計画の作成、小中学生や、海外研修生の受け入れ等、社内外問わずに行っている。

社員が生き生きと働く職場づくりが、一人一人の力量を底上げ

―受賞した感想をお聞かせください。

このような名誉ある賞をいただき、身が引き締まる思いです。それと同時に、一緒に働いているメンバー全員に心から感謝しています。受賞をきっかけに発注の相談や、人材育成の講演依頼をいただくなど、反響も想像以上に大きかったですね。

―受賞に至った理由は何でしょうか?

本音を言うと"大賞"をいただけたことにビックリしています 。 ただ、会社の雰囲気はどこにも負けない自信があります。評価委員の皆様が、実際に現場で働いているメンバーの明るい挨拶や生き生きと働く姿を見て、総合的に評価していただいたと思っています。

―社員が生き生きと働くために、どのような取り組みを行っていらっしゃいますか?

弊社では社員一人一人が年初に自身の職位や能力に応じた目標を設定し、達成に向けて取り組んでいます。毎週、進捗を確認しながら、必要に応じて目標の再設定をします。年末には、目標の達成状況を全社員の前で発表します。達成できた人には自然と拍手が起き、みんなで喜び合います。この取り組みが社員の成長や達成感につながっていると実感しています。

加えて社員同士がお互いを尊重し合い、困り事があるときはお互いに助け合う関係を築けていることも社風に影響していると思います。弊社では世代交代がうまく進み、社員の年代構成のバランスがよくなりました。各世代の考え方や価値観をお互いに吸収できるため、異なる年代同士尊重し、助け合う環境が生まれ社内が活性化しています。先輩後輩で学びあうことで、社員一人一人の力量の底上げにつながっています。

他にも、過去2回認定をいただいた"優工場"がきっかけで、地元の小学生や修学旅行生からの工場見学や、JICAの海外研修生受け入れなどのお声がかかり、地域貢献活動等にも積極的にトライしています。ものづくり企業が集積している大田区にあるおかげで、様々な機会をいただいており、大変感謝しております。

社長として最も大切にしていることとは

―異なる世代間でもお互いに尊重し助け合う職場環境が社風を作り上げたのですね。特に「御社ならでは」の取り組みはありますか?

クリスマスにホールケーキを家族のもとへ持ちかえっていただいています(笑)。ケーキを渡す際に、ぜひご家族へ感謝の気持ちを伝えてほしいと思っています。
あとは、月1回のミーティングや毎日の朝礼で、会社の方向性を丁寧に伝えることでしょうか。繰り返し伝えていくことで、働く上での不安や迷いを無くし、やるべきことを明確にイメージできると考えています。

―社長として、社員と接するときに何か意識されていることはありますか?

社員一人一人を尊重することです。距離感など難しいことも多いですが、かざらず本気で向き合うことを大切にしています。
私は会社員時代に、人間関係に多くの労力を費やした経験があり、皆には同じ思いをしてほしくないと思っています。だから全メンバーに対し『私は素直に思いを伝えるから、忌憚なく思いを教えてほしい』と伝えています。なかなか難しいかもしれませんが(笑)。
また、皆が『会社に行きたくないな』と思う日を、1日でも少なくしたいと願っています。そのためにできることを真摯に考え、これからも企業理念である"従業員の幸せの追求"をしていきたいです。

社員への信頼と尊重が果敢に挑戦できる環境を生む

―まずは金城さんのご経歴を教えてください。

私は長らく同じ業界で働いていましたが、四元社長の情熱的でエネルギッシュな人柄に惹かれ、7年前に中途入社しました。現在、グループ統括長として働いています。
私がこの会社を初めて訪問したのは取引先として謝罪に伺ったときでした。謝罪のために訪れたにもかかわらず、到着時や帰る際に全社員の方が作業を止めて快く挨拶をしてくださったことをよく覚えています。
当時からこの会社は社長を中心に和気あいあいとしていて、アットホームな印象がありました。一方で仕事には全社員が全力で取り組み、オンとオフがはっきりとしているメリハリのある職場だと感じました。

―岩崎成型に入社してから感じたことは何ですか?

社員を尊重、信頼し、様々なチャレンジをさせてもらえるため、自身の成長を日々実感できる環境があると感じています。
私はこの会社に入るまで営業の経験がなかったのですが、社長に様々なことを教えていただき、新規部品の立上げから量産まで任せてもらえるまでになりました。2024年は新規顧客を1件獲得することを目標に掲げていました。社長とともに弊社の強みを分析した上で、適した営業先を洗い出し、綿密な戦略を練って努力した結果、幸いにも新規顧客を2件獲得することができました。お客様と信頼関係を築いたとき、成長を実感しましたね。

全社員の力量表の作成が、全員の力量の把握とそれぞれに合ったスキルアップにつながっていると感じます。力量表では加工技術内容とその難易度を一覧にし、その隣に各社員の現段階の技術レベルを4段階で評価をした表を並べています。このように全社員の技術レベルを見える化し、社内で掲示して共有することで全社員が持つスキルをフォローしています。この表をもとにメンターとともに実技テストを行うほか、個別の教育計画を作成することで全員のスキルアップが効率的にできるようになりました。結果、様々なチャレンジが可能となり、あわせて多能工の育成にもつながっています。

―グループを統括する立場として他に何か取り組みたいことはありますか?

社長も含めて、どの社員も何かあればすぐ相談にくるので、現状大きく変えたいことはないですね。全員が力量アップできる更に良い手法があれば積極的に取り入れたいです。 社内コミュニケーションをさらに深めるという点では、ボウリング大会やバーベキュー等のレクリエーションに加え、何か新しいことも皆で挑戦したいですね!

編集後記

―四元社長の「会社を大切にし、社員一人ひとりを尊重する」姿勢に、社員の方々が応えようと一丸となっていて、皆で会社をより良くしようとする意識ができていると感じました。社長と社員の方々の心意気が様々な人材育成の取り組みにつながっています。そして取り組みを理論的に進めているため、振り返りや改善の実施がしやすい環境が整っていました。人材育成は正解も終わりもない道だからこそ、真摯に現状に向き合い続ける社員一人一人の姿勢が、大賞受賞の背景にあったのではないでしょうか。

企業情報

株式会社岩崎成型
設立:1975年1月
住所:東京都大田区南六郷1-20-17
ウェブサイト:https://www.iwasaki-seikei.com/

 

 

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