歯列矯正用小型ブラケット「アトマーブラケット」

第29回入賞製品・技術

おおた福祉・医療賞

歯列矯正用小型ブラケット「アトマーブラケット」_写真

 

開閉式超小型「歯列矯正用ブラケット」の開発

概要

目立たない歯列矯正を目指す

本製品は歯列矯正治療の際、歯牙に接着して、矯正力を付加させるワイヤーを装着するためのブラケットです。
一般的に歯科矯正というと、歯面に並ぶ仰々しい矯正器具が想像され、これが矯正治療を敬遠する一つの原因にもなっています。
既存のブラケットでは、サイズの問題から装着できる歯牙に制約があり、装着するのは歯の「表側」というのが当たり前でした。
そこで当社では、目立たない場所=歯の「裏側」でも使用可能なブラケットを考案し、装着場所を選ばない、かつ作業がし難い歯の「裏側」であってもワイヤーの着脱が容易に行えるものを目指して開発したのが「アトマーブラケット」です。

歯に付けた時の従来プラケットの大きさの比較

特徴

精密金型の製造ノウハウから生まれた「アトマーブラケット」

当社では長年プレス金型の製造に携わり、特に細小・精密部品の製作を得意としてきたことから、結果、実用可能な「極小ブラケット」の開発・具現化を実現しました。
ワイヤーの着脱を容易にするという命題も、ワイヤー保持部分を開閉機構としたことで解消しつつ、可動構造でありながらもわずか3パーツのシンプルな部品構成としました。
さらに従来品では、接着力を確保するため底面に別部材を用いていますが、本製品では独自の工夫で一体形状でありながら十分な接着力を確保しています。
これらの技術的要素を踏まえ、2017年6月に「特許案件」として国際出願を行いました。

アトマーブラケットのイメージ写真1

用途

矯正治療を身近なものへ・・・

従来品では、表側の矯正に用いられることがほとんどでしたが、本製品は小型化の実現により、裏側矯正(舌側矯正)での使用が、より好適であると言えます。
さらに、近年普及が進む、シミュレーション技術を応用した「デジタル矯正」との併用で、本製品の特徴がさらに活かされます。これによって、従来は矯正専門医にしかできなかった矯正治療が、「一般の歯科医師」でも可能となります。
「アトマーブラケット」が矯正治療に抵抗を感じている多くの人たちの助けとなり、ひいては歯科矯正市場の拡大に貢献することを期待しながら、現在は本製品を「医療機器」として製品化できるように準備を進めています。

講評

歯科矯正用のワイヤーブラケットを超小型化することで、歯牙の裏側に装着した際の患者の負担を減らし、美容に配慮した歯科矯正の選択の幅を広げたこと、ワイヤー脱着が可能な機能を加えたことで歯科矯正治療に要する手間を減じたことが評価されました。精緻な製品づくりを得意とする大田区の企業らしさに加えて、医療分野への進出に挑戦されたことが福祉・医療賞にふさわしい製品であるとの結論で一致しました。関連法規の認可承認後、世界に向けて大田区の技術の優秀性を広くアピールされることを期待します。

企業情報

社名 有限会社タジマ
住所 大田区中央8-35-15
TEL 03-3752-6551
FAX 03-3752-1691
メール info@yugen-tajima.co.jp
HP http://www.yugen-tajima.co.jp
業種 製造業
事業内容
  • 超硬順送金型の設計・製作
  • 金型部品のワイヤーカット加工設計・製作
  • プレス金型製品全般
  • 歯科矯正器具部品の製造


経営支援部イノベーションセクション
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