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土壌油分検出セット
優秀賞
概要
土壌が重油や軽油に汚染されると、油膜・油臭発生の問題が生じます。汚染規模の把握や浄化程度を評価するには測定が必須ですが、従来法では高価な分析機器が必要であり、また結果が出るまでに数日間を要し、現場測定は困難でした。
本製品は、土壌中の油分を対象とした簡易分析キットです。油分をエタノールで溶出し、特殊な水溶性高分子「ポリニッパム」を用いて共存物質から分離します。最終的に油粒子が水中に分散した乳濁液を得て、専用の検出計で比濁測定します。
簡単な操作によって、約10分で結果が得られます。
石油化学工業をはじめ、鉱物油を扱う現場において、汚染の程度を判定するためのスクリーニング試験に活用することができます。
土壌用溶出カラムの開発、ポリニッパムを抽出媒体として活用する新技術、さらに操作の簡便化を志向した器具類の改良により、迅速な現場測定を可能にした製品です。
- 検出範囲: A重油換算 400~5,000 mg/kg (wet weight)
- 所要時間: 約10分
- 検出原理: エタノール溶出+ポリニッパム混濁法
- 検出回数: 15回
- 包装外形: 約400L×215W×198H mm (約3kg)
特徴
現場測定に必要な器具・試薬類がセットになっており、持ち運びも容易です。電源や特殊な分析機器を必要としません。試薬類はすべて毒物及び劇物取締法に非該当であり、1回測定のランニングコストは約940円と他法に比べて安価です。
土壌用溶出カラムの採用により、シリンジで液を通すだけの迅速な溶出操作を可能にしました。また、特殊な水溶性高分子「ポリニッパム」を抽出媒体とする分離技術によって、共存物質による測定妨害を受けにくく、再現性が向上しました。
本製品による検出値は、ガスクロマトグラフ法で測定した全石油系炭化水素(TPH)濃度と高い相関性が得られています。現場での迅速なスクリーニング試験に有用です。
講評
優秀賞に選ばれた『土壌油分検出セット』は、土壌中の油分濃度を高精度に分析するためのツールで、同社の展開するデジタルパックテストと組み合わせて、手軽に油分検出を可能にした製品です。土壌という固体中の油分をデジタルパックテストによって検出するため、油分を「共貧溶媒性」という特殊な性質を持つ高分子材料に吸着させて分離・濃縮する原理の新規性、それを計測器として形にした技術的優秀性、さらには環境保全の観点から土壌中の油分検出が求められる機会が増えていることに伴う市場性いずれもが高く評価されての受賞です。
企業情報
社名 | 株式会社 共立理化学研究所 |
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住所 | 〒145-0071 大田区田園調布5-37-11 |
連絡先 |
TEL:03-3721-9207 FAX:03-3721-0666 |
URL | http://kyoritsu-lab.co.jp/ |