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2015年09月14日 公開
熟練の技術をいかに受け継ぐのか
同じく、平成26年度受賞者である島田裕介氏(株式会社タシロイーエル)は以下のように語る。
「柔らかくて熱に強いタンタルという扱いの難しい金属がある。これは、会長が汎用旋盤で加工していた。公差はミクロン単位。手送りでないと寸法精度が出ない。それをNC化しろと言われて思わず『無理でしょう』と言ってしまった」。
ようやく、ねじ切りまで到達したという島田氏。ものづくりの未来に必要なことは、まず先輩が蓄積してきた技術を数値化することで、将来のものづくり従事者へ継承することだ。
大田区企業の将来をこう考える
「これではマズいということで、営業を意識するようになった。外に出てお客さんのニーズを探り、設計以前の企画開発のところから関わることで仕事につながるようになった」(野瀬氏)といい、機械加工の合間に新規顧客開拓をし、会社に貢献している。
「中小企業の技術者なら設計図を見てすぐに実現可能かどうか判断できる」と語るのは島田氏。「こんな薄い板に溶接したら変形するよと大手メーカーの技術者に提案している」(島田氏)という。かつてのように製品が営業マンという時代ではなくなり、設計提案力が中小企業に必要になるという。
平成26年度受賞者である、髙松喜久子氏が所属する株式会社共立理化学研究所は、「初代社長の先見性を二代目社長、そして現社長が受け継ぎ、事業を続けているからこそ、他ではできない製品を提案できるのだと思う」(髙松氏)といい、顧客のニーズを意識した研究を続けている。
平成25年度受賞者の福富善大氏(受賞当時:有限会社安久工機、現在は善大工業)は、「大田区の町工場の人はやさしいから、すごいノウハウを簡単にメーカーに教えてしまう。これはもったいない。今はノウハウが売れる時代」といい、情報の蓄積を武器にしたいと考えている。