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- > コロナウイルスに負けない町工場製の飛沫防止パネル!
2020年06月03日 公開
大田区と区内中小製造業が協力し、短期間でコロナウイルス感染防止を目的としたアクリル製飛沫防止パネルを製造しました。「窓口での感染防止」と「地域中小企業の経営支援」の両面でコロナウイルスに立ち向かいます。
きっかけは、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の対策において、大田区が窓口における感染防止策を検討していく中で、(公財)大田区産業振興協会(以下「協会」)が取り組んでいる「受発注相談サービス」への問合せでした。本件を担当した協会のものづくり連携コーディネーターが、製品仕様や納期、価格などについて要件を整理し、大田区内の樹脂加工企業数社に協力を依頼しました。その後、細かい要件を確認しながら製品が完成し納品されるまで1週間という短納期での納品を実現しました。
今回ご協力いただいたのは、区内企業の(株)豊樹脂(東矢口)、シミズ工業(株)(仲池上)、(株)渡辺製作所(萩中)の3社です。協会は今後、注文に応じて上記3社に加え、他の区内企業へも紹介していく予定です。
大田区はまず264台を購入しました。(株)豊樹脂は4月15日に全台すべて納品して、本庁舎の各窓口に順次配備しました。納品の様子は、テレビニュースでの放送や新聞記事などのメディアに掲載されました。このため、同社はメディアからの問合せもあり、順次受注対応しているとのことです。また、シミズ工業(株)は、東京信用保証協会やさわやか信用金庫など区内の金融機関等への納品を予定しています。
今回は、納期までのスピードを重視しました。感染拡大防止については、何よりも迅速な納品が求められていたからです。このため、製品の基本的な仕様以外は各社の特徴に委ねて、各社は得意技術でこれに応えてくれています。パネルを支える脚部などに、各社の工夫が「個性」として現れているのも特徴的なところです。各社とも価格は1台あたり1万円前後としております。
(株)豊樹脂の大山社長は「思いがけない話から自社製品の製造につながった。普段の仕事は産業機器の部品を生産しており、自社で完成品まで作ったのは初めて。社内の士気も高まっている」と話しています。
また、同社は、飛沫感染防止アクリルパネルを正面板3mm厚、幅1200mm、高さ545mm、奥行130mmのものと合わせて幅650mmの2タイプ用意しています。そして現在、ハイカウンター用を開発しており、窓口によって対応できるようにラインナップ化を図っています。「今後は、原料である材料を確保していくことと他の素材で応用できるか引き続き研究していく」(大山社長)とのことです。
今回対応した協会事業の受発注相談サービスは、昭和47年度(1972)の開始です。当初は、大田区で行っていましたが、平成8年度(1996)からは協会の事業として運営しております。区内企業の取引促進のため、国内外からの受注・発注に応じることができる専門のものづくり連携コーディネーターを配置して、条件などにあった区内企業を無料で紹介する事業です。ものづくりに関する専門性が問われるため、コーディネーターのバックグランドは主にメーカー出身が多くを占めます。
また、コーディネーターは、受注の相談だけではなく、発注開拓として担当職員とともに中堅・大手メーカーの開発部門等への営業訪問を行っています。このため、毎年約1,000件の様々な相談が持ち込まれます。1点ものの加工から設計を含めた製造など内容は千差万別です。区内企業への訪問も定期的に行い、企業の技術動向や設備環境などを日々更新しマッチングの精度向上に努めています。
引続き、協会では今回のような区内企業の技術力を活かしたコーディネートを行って参ります。ものづくりのまち「大田区」には高い技術を持った企業が数多くありますので、ものづくりでのお困り事がありましたらお気軽にご相談ください。