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- > コロナウイルス対策製品を生み出す大田区企業 製品化のアイデア プロセスに迫る
2020年07月28日 公開
コロナウイルス感染拡大を防止するため、大田区企業が様々な対策製品を作っている。
本業で培われた技術を活かし、社会情勢の大きな変化に対応する。そんな動きの裏には、複数の企業が連携して製品化のアイデアやプロセス、企画・設計を生む企業形態があった。
アイデアはどこから?
飛沫暴露防止キット(作業時)
飛沫暴露防止キット
製品化のアイデアはどこから生まれたのか。
有限会社大響機工(大田区大森西)は、1987年創業以来、金属加工を得意とし、現在は親子で教育機関向け研究試験治具や自動車製造ライン治具、医療機器の製造を手掛ける。
今回、医療の最前線で使われる飛沫暴露防止キットを製造した。重篤な患者の気道確保する際、医療従事者を飛沫による感染リスクから守る。
このアイデアは、臨床工学技士である野口氏(CE野口企画)が発案し、相談を受けた当協会医工連携コーディネーターが、第三種医療機器製造販売業許可を取得し医療機器の製造体制を持つ大響機工とマッチングし製品化に至った。
大響機工の髙橋社長に製品化の話を伺った。「もともと現場で使われていたキットはポリ塩化ビニル製でアルコール消毒するうちに劣化する難点があったため、素材をステンレス製にし、持ち運びが便利な組立式のキットを製作しました。」
幅広い金属加工技術を活かし、医療現場に合わせた実用的な製品に改良された。
ファブレス企業との連携
足踏み式消毒ポンプスタンド
製品化過程に焦点を当てると、製品の企画・設計を担当するファブレス企業と、製品を加工する大田区企業の連携が目立つ。
株式会社アシスト(大田区西糀谷)は、足踏み式ポンプスタンドを製品化した。
1989年、精密機器用工具の販売企業として創業。以降、精密機械の設計やICT教育用タブレットの開発、映像事業を手掛ける。自社の設計ノウハウと、様々な専門企業を繋ぎ、製品開発プロジェクトを執り行う。
足踏み式ポンプスタンドも設計はアシストが行い、区内企業が製造した。
アシストの加藤社長に製品化の話を伺った。
「踏み式ポンプスタンドは、設計を当社が行い、製造は協会の受発注相談サービスを通して区内企業に依頼しました。製品化にあたり、会社ごとの得手、不得手があるため、1つの企業のみでは賄えない部分が出てきます。企画・設計は自社で考案し、様々な企業が絡んで1つの製品が作られる。今後も他企業と連携し製品を作っていきたいです。」
一貫体制の強み
バッグハンガー 『TRUSS』(左) 『Trineo』(右)
タッチレスツール 『Swan』(左) 『TRUSS』(右)
アイデア出しから製造までこなす大田区企業も台頭している。
有限会社ファクタスデザイン(大田区大森南テクノフロント森ケ崎)は、1996年に創業。腕時計の企画、デザインからスタートした。自社ブランドFACTRON(ファクトロン)を持ち、培われたデザイン技術をもとに企画、設計から製造加工、販売まで一貫して行う。
鉢呂社長にこれまでの経緯、タッチレスツールの製品化について伺った。
「現在の体制になったのは、お客様からデザイン案だけでなく、試作品も作ってほしいと頼まれ、切削加工機を入れたことがきっかけです。今回製造販売しているタッチレスツールは自社ブランドから出しています。『Swan』『TRUSS』の特徴は、細菌類を死滅させる作用を持つ純銅、真鍮を使っていることです。その素材に削り出し加工を行い、丁寧に手仕上げしています。」
デザイン力をもとに、BtoBからBtoC製品まで、自力で作り上げる強みがある。
自社製品を扱う企業の課題は資金調達と販路だ。
大響機工が取り扱う飛沫暴露防止キットは現在、製造を企画したCE野口企画が、キットを医療機関に寄贈するための資金をクラウドファンディングで募っている。
URL:https://readyfor.jp/projects/covid19-himatubakuro
販路開拓では、ファクタスデザインがネット販売に力を入れている例がある。
URL:https://factron.net/index.html
掲載されている製品は、当協会のマッチング事業「受発注相談サービス」への問合せ案件です。
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「受発注相談サービス」