2016年06月09日 公開

展示会、表彰事業の活用は自社PRの第一歩

大田区は高度な加工技術を有する中小企業が集積する世界でも有数のものづくりのまちである。3,481を数える工場(事業所数:平成26年度 大田区ものづくり産業等実態調査より)の内、8割は従業員9名以下の小規模企業が占めているが、小規模ながらも各社の多種多様な加工技術と集積を活かしたネットワーク(仲間まわし)で、日本の産業全体の屋台骨となり先端的な技術開発を支えている。

このような大田区企業の特性は強みでもあるが、絶対的な従業員数が少ないことから多くの企業は営業担当者の他、自社PR(情報発信)につながるWebサイトの運営等、情報発信についても専任の担当者を配置することが難しいようである。特に、平成20年のリーマンショック前後から日本経済は停滞期に入り、大田区企業も受注量が大幅に減少したことから、各社、新規顧客の開拓等、取引の拡大と自社PRが重要な課題となった。

「大田区加工技術展示商談会について」

 

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時を同じくして平成20年度、大田区産業振興協会は、大田区企業の特性や日本の景気動向を鑑み、加工技術にテーマを絞った「大田区加工技術展示商談会(以下、「加工展」)」を新設。従来、展示会というと3日間の会期でブース代金や装飾代金等、ある程度の費用が掛かるものがオーソドックスであったが、従業員数の少ない大田区企業に無理なく出展してもらうために、人的負担や費用面の負担を軽減し華美な装飾を要さないシンプルな1日限りの展示会とした。

 

 

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100社の出展企業の中で、あくまでも主役は展示会に出展経験の無い(もしくは浅い)、従業員数10名以下の大田区企業。毎年、担当者が大田区各所を歩き対象となる企業へ訪問、約20社前後の新規出展に繋げている。新規出展企業は出展準備や展示会当日の対応等、わからない事だらけで疑心暗鬼になりがちだが、担当者のサポートを受けて展示会当日は他の企業と遜色なくブースを構え、来場者の対応をされている企業がほとんどである。 「加工展」は1日限りとはいえ、約2,000人の来場者が訪れる展示会に成長。新規出展企業は、自社の加工技術やノウハウをPRすることが、想像以上の商談件数や具体的な案件に繫がることを実感し「加工展」のリピーターになっている。

 

「大田の工匠 Next Generationについて」

 

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同じく、平成20年度、大田区は匠の技能者(人)に焦点を絞り、大田区優秀技能者表彰(「大田の工匠100人」)を新設、平成24年までの5年間で103人を表彰した。この後継事業として平成25年度から、優秀な技術を有し、大田区のものづくりの将来を担う、他の模範となる技術者を表彰する「大田の工匠 Next Generation(以下、NTG)」がスタート。同事業は、前身事業の「大田の工匠100人」よりも応募資格年齢を下げ、受賞者を讃えるだけでなく、受賞者の所属企業のPRと大田区企業の若手人材の確保・育成につなげることを目的としている。

平成27年度までの3年間で43人の受賞者を輩出。毎年、子供たちの夏休みに併せて7月下旬から約12日間、グランデュオ蒲田で開催される、「大田の工匠 NTG展(以下、NTG展)」においては、受賞者の動画、パネル展示、製品展示の他、一般の方が参加できる「ものづくり体験教室」、「コマ回し大会」等、受賞者と所属企業を大々的にPRしている。

 

 

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NTG展は、「ものづくり体験教室」等を通して、ものづくりの凄さや素晴らしさ等を親子連れの方を中心とした一般の方に訴求しており、直近では12日間で約33,000人を動員、グランデュオ蒲田の夏の風物詩になっている(グランデュオ蒲田での展示は「大田の工匠100人」の時から開催)。

「加工展」、「NTG」と事業の性質は違えども大田区企業のPRを推進し、新規顧客や人材の確保、大田区の工業のイメージアップにつなげることを目的としている。両事業共に応募資格や条件はあるものの、今後、自社PRの拡充を検討されている企業の方は、是非、活用を試みてほしい。

 

2016.6.9
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