2023年12月15日 公開

水門通り商店街 「東京商店街グランプリ」受賞記念インタビュー

東京都は都内の商店街の役割や魅力を広く知らせることを目的に、優れた取組みを表彰・紹介する「東京商店街グランプリ」を開催しています。

令和5年11月14日に行われた「第18回 東京商店街グランプリ表彰式」において、大田区の「水門通り商店街振興組合」がグランプリを受賞しました。

「水門通り商店街」は京急雑色駅から多摩川の河口近くの「六郷水門」に向けて続く長い通りにある商店街。

表彰の対象となったのは、同商店街が取り組んでいる「イベントマルシェG-round『地域で描く円と縁』」です。

「G-round」とはどのような取り組みなのか、「G-round」の実行委員長、澤さんにお話しを伺いました。

正義氏

有限会社C&C 代表取締役 澤 正義 氏

コロナ禍でなにかできないかと考えて

─「東京商店街グランプリ」におけるグランプリの受賞、おめでとうございます。
今回、表彰の対象となったイベント事業をはじめた経緯を教えてください。

「イベントマルシェG-round『地域で描く円と縁』」は2年程前からはじめたイベントです。京急「雑色駅」の前に広場がありまして、そこを活用して地域の店舗を中心としたマルシェ企画とイベントをほぼ毎月開催しています。

「G-round」を始めたきっかけは、新型コロナウイルス(以下、コロナ)です。

コロナ禍でお客さんや人通りが減る中、何かできないかと商店街の仲間と考え、そこから生まれたアイデアでした。

コロナで密な空間は敬遠される。ならば屋外で何かできないかと考えました。そこから生まれたのが「屋外でマルシェとイベントを掛け合わせた催事」の開催です。

幸い、雑色駅の前には広場があります。ここを是非とも活用しようと考えました。

ただ、駅前の広場を利用するにも、勝手に使うことはできません。商店街振興組合の許可が必要です。

そこで、水門通り商店街振興組合の理事長である小林さん相談したところ、「やってみなさい」とあっさりとご承認いただけました。理事長はどんな話でも前向きに聞いてくれて、丁寧に相談に乗ってくれる方です。「G-round」の開催も具体的に動き出しました。

小林さん

水門通り商店街振興組合理事長の小林さん

─「G-round」は具体的にどのようなイベントなのでしょうか。

京急雑色駅前の広場でタープテントを立てて、周辺地域を中心とした食品や雑貨、お店の方に出展していただいています。最初は10店舗程度の規模ではじめましたが、数も徐々に増えていて、今では毎回15店舗以上の規模になっています。

「イベントマルシェ」としているのは、食品を売る「マルシェ」だけだと「美味しかった」で終わってしまいます。継続的な関係、「縁」をつくるためにはやはり体験が必要です。

バンドや楽器演奏をはじめ、スイカ割りやジャンケン大会といった飾り気のないイベントも好評です。また、ダンススクールの生徒によるダンス発表はいつも大勢の人が押し寄せます。

ダンスのイベントは、コロナ禍でダンスを発表する場がない子たちに、発表の場として「G-round」を使ってもらったらどうか、というアイデアからはじまりました。

参加するダンサーの子たちからは喜ばれましたし、イベントも賑やかになります。また、ダンスをする子たちの親御さんや友人、関係者などイベントを目的とした集客もあります。最初からそのような目論見があったわけではありませんが、結果としてとても有意義なイベントとなっています。

継続していくことで「縁」が広がる

─「G-round」というイベント名にはどのような意味が込められていますか。

「G-round」は英語の「Ground」、ここで言うと雑色駅前広場という「場」を中心として、その周囲に「round」、「円状に賑わいや縁」が広がっていく、という意味や想いを込めて名付けました。

月に1回を目途に実施しているのも、その意図があります。

年に1度、という頻度ですと準備はしっかりできるのですが、1回の打ち上げ花火で終わってしまい、我々が求めている地域を中心とした「縁」はつくれません。

雑色駅前の広場という場所で、継続して開催し続けることで生まれるものがあると期待しています。

─行政からの助成金などを利用していない、という点もグランプリでは評価の対象となったと聞きました。

はい、助成金等は利用していません。助成金という制度は助かりますが、助成金ありきでスタートしてしまうとイベントの実施時期や内容も影響を受けてしまいます。

我々はスピード感を大切にしていますので、助成金は使わず、参加店舗からの出展料で運営していく形を選びました。

─「G-round」にはどんな意義があるとお考えでしょうか。また、今後の展望などがありましたら教えてください。

「G-round」の実行委員会には若い方も多く参加してくれています。そして、私は若者の意見をよく聴くようにしています。

今はあらゆる場所で高齢化が進んでいますが、若者が意見を言って、活動・活躍する場所がないとそこには若者は残りません。彼らの意欲や能力を活かせる場所を用意するのが大切で、「G-round」はその一部を担っていると思います。

今後は「G-round」で培った、「商店街としての取り組み・ノウハウ」を別の商店街や地域に展開していけないかなと考えています。

大田区には都内で最多の140の商店街があります。それらの商店街が新しい取り組みをはじめようとした時、我々はその滑り出しをサポートすることができると思いますし、いずれ事業としてマネタイズすることも視野に入れています。

他の商店街や地域も活性化してくれた方が楽しいですし、事業として取り組んでいくことができれば10年、20年といった長期的な視点で継続していくことができます。

集合写真

商店街情報

水門通り商店街振興組合
住所:大田区東六郷2丁目
ウェブサイト:https://suimonstreet.com/

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